○田原本町法令遵守推進条例

平成29年8月17日

条例第23号

(目的)

第1条 この条例は、町政が町民の厳粛な信託によるものであることを認識し、職員が職務を執行するに当たっての法令遵守体制に関し必要な事項を定めるとともに、公正な職務の執行を確保するために必要な措置を講ずることにより、公務に対する町民の信頼を確保し、もって町民と共に公平かつ公正な町政の運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 職員 町の職員であって、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第3条第2項に規定する一般職に属するもの及び同条第3項に規定する特別職(以下「特別職」という。)に属するもの(議会の議員を除く。)をいう。

(2) 職員等 次に掲げる者をいう。

 職員

 町が委託契約、請負契約その他の契約を締結している者が行う当該契約に基づく事業に従事する者

 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定により町が指定した者が行う町の公の施設の管理業務に従事する者

(3) 任命権者 法第6条第1項に規定する任命権者をいう。

(4) 町長等 町長及び他の任命権者をいう。

(5) 町民等 町民その他町政に関わりのある者(前各号に掲げる者を除く。)をいう。

(6) 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例、規則その他の規程をいう。

(7) 内部公益通報 職員等が、町が実施する事務又は事業に係る行為について、次に掲げるいずれかの事実が生じ、又は生じようとしていると思料する場合において、当該行為について通報すること(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的で行うものを除く。)をいう。

 法令に違反し、又は違反するおそれがある事実

 町民の生命又は身体の保護及び利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保等に重大な影響を与えるようなおそれがある事実

 町に対する町民の信頼を損なうおそれがある事実

(8) 特定要求行為 次に掲げるもの(公式に書面により行われた陳情書、要望書等を除く。)をいう。

 町が行う許可又は認可、契約、職員の採用、人事異動等に関し、特定の者に対し有利な又は不利な取扱いを求めること。

 職務上特定の者に対し、義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨げること。

 執行すべき職務を執行しないよう、又は所定の期限までに執行しないよう求めること。

 職務上知り得た秘密を漏えいさせようとすること。

 公務員としての職務に関する倫理に反する行為を求めること。

 法令により与えられた権限の行使に当たり、公正中立な執行を妨げること。

(9) 不当要求行為 特定要求行為のうち、次に掲げるものをいう。

 正当な理由がなく面会を強要する行為

 粗野な又は乱暴な言動により、職員に不安を抱かせる行為

 正当な権利行使を装い、又は団体の威力を示す等社会常識を逸脱した手段により、機関紙、図書等の購入を要求する行為又は金銭若しくは権利を不当に要求する行為

 暴力的行為、威圧的言動、脅迫等を伴う行為

(職員の責務)

第3条 職員は、公務員としての誇りを持ち、かつ、その使命を自覚するとともに、次に掲げる倫理行動規準を遵守しなければならない。

(1) 職員は、全体の奉仕者であり、一部の奉仕者ではないことを十分自覚し、常に公正な職務の執行に当たること。

(2) 職員は、法令を遵守するとともに、公共の利益の増進を目指し、全力を挙げて職務の執行に当たること。

(3) 職員は、常に公私の別を明らかにし、その職務及び地位を私的な利益のために用いないこと。

(4) 職員は、職務の執行に当たり、自己の判断及び行動に対する自己責任を確立するとともに、町民の疑惑及び不信を招くような行為をしないこと。

(5) 職員は、職務上知り得た秘密を漏らさないこと。

(6) 職員は、職務外においても、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを十分認識し、行動すること。

2 職員(町長及び特別職に属する非常勤の者を除く。)は、職務を執行するに当たっては、町長が別に定める倫理規準を遵守しなければならない。

(管理職員の責務)

第4条 管理又は監督の地位にある職員(以下「管理職員」という。)は、その職務の重要性を自覚し、部下職員の公正な職務の執行の確保に努め、その行動について適切に指導監督しなければならない。

(任命権者の責務)

第5条 任命権者は、公平かつ公正な町政の運営を図り、町政に対する町民の信頼を確保できるよう、法令遵守に関する啓発をしなければならない。

2 任命権者は、行政施策の説明及び公正な職務の執行の確保並びに法令遵守体制の確立のための取組を実施するとともに、町に関係する事業者等の理解及び協力を得るための必要な措置を講じなければならない。

(町民等の責務)

第6条 町民等は、職員の公正な職務の執行について理解し、協力するよう努めるものとする。

2 何人も、職員に対し不当要求行為をしてはならない。

(法令遵守委員会)

第7条 内部公益通報及び特定要求行為に関する調査、審査等を行うため、地方自治法第138条の4第3項及び第202条の3第1項の規定により、町長の附属機関として、田原本町法令遵守委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、委員3人で組織する。

3 委員は、法令に関し専門的知識を有する者及び学識経験者の中から町長が委嘱する。

4 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、当該委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員会に委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。

6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

7 委員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、調査及び審査をすることができない。

8 委員会の会議は、委員全員の出席をもって開催するものとする。ただし、やむを得ない事情があるときは、この限りでない。

9 委員会の会議は、非公開とする。ただし、委員会が必要と認めるときは、公開することができる。

10 委員会の庶務は、町長公室において処理する。

(法令遵守対策会議)

第8条 町における不当要求行為を防止するとともに、町として統一的な対応方針等を定めることにより、町民及び職員の安全並びに公務の適正かつ円滑な執行を確保するため、田原本町法令遵守対策会議(以下「対策会議」という。)を置く。

2 対策会議は、第13条第2項の規定による報告又は同条第3項の規定による調査の依頼があったときは、速やかに必要な調査を行い、明らかに不当要求行為に該当しないと判断したものを除き委員会に報告しなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、対策会議の組織及び運営に関し必要な事項は、町長が別に定める。

(内部公益通報)

第9条 職員等は、内部公益通報の必要があるときは、町長が別に定める方法により通報することができる。

2 職員等は、前項の規定により通報するときは、実名により確実な事実、資料等に基づき、誠実に行わなければならない。

(不利益取扱いの禁止等)

第10条 町長等は、内部公益通報者(以下「通報者」という。)に対し通報したことを理由としていかなる不利益な取扱いもしてはならない。

2 通報者は、通報したことによって不利益な取扱いを受けたと思料するときは、前条第1項の規定による通報を受ける者(以下「通報受付者」という。)にその是正の申立てをすることができる。

3 町長等は、通報者を保護するため、通報者が特定されるおそれがある情報を公開してはならない。

(内部公益通報に係る委員会の職務)

第11条 通報受付者は、内部公益通報を受けたときは、速やかに事実確認を行い、明らかに内部公益通報に該当しないと判断したものを除き委員会に通知するものとする。

2 委員会は、前項の規定による通知を受けたときは、当該通報の内容について、速やかに必要な調査及び審査を行うものとする。

3 委員会は、審査の結果、当該通報どおりの事実があると認めるときは是正措置等についての意見を付して、該当する事実がないと認めるとき又は調査を尽くしても当該事実の存否が明らかにならないときはその旨を、町長等に報告するものとする。

4 委員会は、審査の結果を通報者に通知しなければならない。ただし、通知を希望しない通報者に対しては、この限りでない。

5 前条第2項の是正の申立ての調査及び審査については、第1項から前項までの規定を準用する。

(内部公益通報に係る措置)

第12条 町長等は、前条第3項の規定による委員会からの報告(前条第5項において準用する場合を含む。)を受けたときは、速やかに審査の結果に基づいて必要な事実の確認を行うとともに委員会の意見を尊重した上、違法行為等を是正し、再発を防止するために必要な措置を講じなければならない。

2 町長は、前項の規定による是正及び措置の概要を公表するものとする。

3 町長等は、第1項に規定する場合のほか、通報者が通報をしたことにより不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると認めるときは、速やかに改善又は防止のために必要な措置を講ずるものとする。

(特定要求行為への組織的対応)

第13条 職員(町長を除く。第3項において同じ。)は、特定要求行為があったときは、法第13条の規定による平等取扱いの原則にのっとり、組織的に対応するとともに、当該行為の内容等を記録し、管理職員に報告しなければならない。

2 管理職員は、部下職員から前項の規定による報告を受けたときは、部下職員の適法かつ公正な職務の執行を確保するために必要な措置を講ずるとともに、前項の規定による記録により対策会議に報告しなければならない。

3 前2項の規定にかかわらず、職員は、不当要求行為があったと認める場合であって必要があると認めるときは、管理職員への報告に代えて対策会議への調査の依頼を行うことができる。

(特定要求行為に係る委員会の職務)

第14条 委員会は、第8条第2項の規定による報告があったときは、必要な調査を行うとともに、当該特定要求行為が不当要求行為に該当するかどうかを審査し、町長に報告しなければならない。この場合において、委員会は、町長が行う措置について意見を述べることができる。

2 委員会は、前項の規定による審査を行うときは、特定要求行為を行った者に対し意見陳述の機会を与えなければならない。

(不当要求行為に対する措置)

第15条 町長は、前条第1項の規定により委員会から不当要求行為に該当するものがあるとの報告を受けたときは、速やかに報告に基づいて必要な事実確認を行うとともに、委員会の意見を尊重した上、当該不当要求行為を行った者に対し書面により警告を行う等の必要な措置を講ずるものとする。

2 前項の措置を講ずる場合において、町長は、必要があると認めるときは、当該不当要求行為を行った者の氏名又は名称、警告の内容その他の事項について公表することができる。

(委員会への報告)

第16条 町長は、前条第1項の規定による措置の内容について委員会に報告しなければならない。この場合において、委員会は、当該報告の内容について町長に対し意見を述べることができる。

(職員等の協力)

第17条 職員等は、この条例の規定により委員会又は対策会議が行う調査等に協力しなければならない。

2 前項の調査等に協力をした者は、当該調査等において知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(運用状況の公表)

第18条 町長は、毎年1回、内部公益通報及び不当要求行為の件数並びにそれらの概要その他この条例の運用の状況を取りまとめて公表するものとする。

(委任)

第19条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成30年1月1日から施行する。

(田原本町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 田原本町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年9月田原本町条例第5号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

田原本町法令遵守推進条例

平成29年8月17日 条例第23号

(平成30年1月1日施行)