田原本町に伝わる昔話 - 第16話

田原本町に伝わる昔話のイラスト

民間伝承-3-(広報たわらもと1992年4月号掲載)

 天候についても多くの伝承があります。人々は長い生活の中から体験し、農耕を中心としたさまざまな暮らしに生かしてきたのです。むかしは明日の天気が人々の生活を左右することが大きかったので、長い生活の体験から圧縮されて、いろいろな言い習わしとなりました。

ねこのイラスト
  • 月に昇り傘、日の下り傘(雨)。
  • 月が傘をさすと雨。
  • 宵虹二十日の日照り。
  • 夕焼けに鎌をとげ。「秋の夕焼け鎌をとげ」。
  • 朝曇りは晴れ。
  • 朝のテラテラその日の雨。「朝のテラテラ後の雨」。
  • 朝雨に驚くなかれ(晴れ)。
  • 朝霧は晴れる。
  • 霜おれは雨が近い。
  • 朝露は晴れ、露が無いと雨。
  • 東風が吹くと雨。成亥風は晴れ。
  • 山が近くに見えると雨。
  • 雲の奈良参りは雨。雲の長谷参りは晴れ。岡参りは晴れ。
  • スズメの行水雨近い。
  • 金剛山に霧がかかると時雨がくる。
  • モズが鳴いたら天気になる。
  • 二上山に傘雲がかかると風雨になる。
  • アリが穴をふさぐと雨になる。
  • 生駒山に灯が見え出すと晴れになる。
  • キジが鳴くと地震がある。
  • 西の夕焼け七日の日照り。
  • くもが屋外で巣をはると晴れ。
  • 夜むせたら雨が近い。
  • 白子が飛ぶと雨になる。
  • 寺の鐘が近くで聞こえたら雨が近い。
  • カエルが木に登って鳴くと雨になる。
  • 庭石がようずでぬれると雨。
  • 猫が顔を洗うと雨になる。
  • 二月堂のお水取りがすまぬ間は寒い。
  • サイラ(サンマ)が多く捕れる年は旱魃(かんばつ)になる。
  • ツバメが空高く飛ぶときは晴れ。低く飛ぶときは雨。
  • かまどの口に火が着くと雨になる。
  • トンビが空高く飛ぶときは晴れ。
  • 頭がかゆくなると雨になる。
  • トンビが鳴くと雨が降る。
  • しもやけがかゆくなると雨。
  • フクロウがないたら明日は晴れ。
  • 煙が低くたなびくと雨になる。

民間伝承-4-(広報たわらもと1992年5月号掲載)

 ここでは主に家庭生活に関するものを掲げてみましょう。このような伝承は、現代の生活にはそぐわないものがほとんどですが、当時の子供たちは、生活上のマナーやルールを、祖父母や両親から「しつけ」として教えられて来たのです。

サルのイラスト
  • 火鉢の火を二人で吹くと仲が悪くなる。
  • 枕を投げると頭痛になる。
  • 二人でゴミを取り合うとゲンが悪い。
  • 親の枕に上ると親の頭を踏むのと同じ。
  • 火なぶりをすると寝小便をする。
  • 新しい履物をおろすときには「三足履こ、三足履こ」と言って大黒柱で擦ってから履くと足が丈夫になる。
  • カマドに包丁を置くとバチがあたる。足をのせるとバチがあたる。
  • 元旦にケンカをすると一年中ケンカをする。
  • カマドで下駄を燃やすとバチがあたる。
  • 人の真似をすると猿になる。
  • カマドのたき口は東向きで、西を向いて炊く。反対にすると火事になる。
  • 嘘をつくと鬼に舌をぬかれる。
  • ヤカンの口を北に向けて置くとゲンが悪い。
  • 嘘泣きをすると親に早く別れる。
  • ザルを頭にかぶると背が伸びない。
  • 夜、口笛を吹くとドロボウになる。
  • ツメを焼くとゲンが悪い。
  • 歯の抜けた夢を見るとゲンが悪い
  • 見た夢をいつまでも思っていると悪い事がおこる
  • ミミズに小便をかけるとチンチンがはれる。
  • 川に小便をするとガタロが足をひっぱる。
  • 宮さんで小便をするとバチがあたる。
  • お汁の三杯はよいことはない。
  • お汁をご飯にかけて食べると出世しない。
  • 杓で水を飲むと杓の子ができる。
  • 大きい茶わんで食べると大きい口の子ができる。

民間伝承-5-(広報たわらもと1992年6月号掲載)

 今回は身体に関するものや呪と言われるものを掲げましょう。今は迷信とされるものがほとんどですし、なぜこうした発想が生まれたのか解りませんが、諸信仰とともに信じれられてきたものもあるようです。

  • くしゃみが出ると譏(そし)られている。また「一で誉められ二で譏られて、三で風邪をひいた」。
  • メボが出来たらイッカケ(ザル)に小豆を入れて井戸に浸け、
    「治してくれたらあげたろあげたろ」と唱えるとよい。
  • くしゃみ三回は誉められている。
  • 家出人があると、宮さんの狛犬の足を紐でくくっておくとその人は帰ってくる。
  • 逆むくれはオバハンにきらわれている。
  • 散髪した髪の毛を道に捨て、人に踏んでもらうと頭が固くなる。
  • ヒキガエルをいらうとイボミができる。
  • 頭髪を火にくべると気が狂う。
  • ヘソのゴマを取ると腹痛になる。
  • 山上参り(大峰山)の人にまたいでもらうと、その子は丈夫に育つという。
  • ハシカの呪は軒下に紙に「子供ルス」と書いて逆さまに貼るとよい。
  • しもやけは十五夜の晩、猿沢池の水に足を浸けるとよい、
    これを三年続けるとよい。
  • メバチコはメボという。メバチコと言うと八つも出来る。
  • 墓でこけると猫になる。
  • メボが出来たら茶わんに箸を十字に置いて上からのぞくと治る。
  • 瘡ができると泥ダンゴを瘡神さんに供えるとよい。
  • メボが出来たら井戸にザルをつけて上からのぞくとよい。
  • 朝、東を向いて草を刈ると手を切る。

『郷土の歴史教室』より

次回は『おばけと幽霊の話』などです

この記事に関するお問い合わせ先
担当課:図書館
電話:0744-32-0262