○田原本町こども基本条例
令和5年9月21日
条例第21号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 基本的施策(第10条―第17条)
附則
こどもは、社会の宝であり社会を構成する大切な一員です。
すべてのこどもは、かけがえのない存在で、一人の人間として尊重される権利を生まれながらに有しています。こどもたち一人一人の人権を保障するためには、日本国憲法と児童の権利に関する条約に定められたすべての権利を尊重し、その健やかな成長を社会全体で支えていかなければなりません。
しかしながら、地域における人間関係の希薄化等に伴い、こどもを見守る力が弱まっています。そのような中で、こどもの権利を実現するためには、こどもと接する身近なおとなが、こどもの思いや願いを受け止めることが不可欠です。
また、すべての保護者が安心してこどもを育てることができ、こどもとともに過ごせる喜びを抱きながらふるさとで暮らしていくためには、社会全体で相互に連帯し、協力してこどもを見守り、子育てを応援するまちづくりを進めることが求められています。
ここに私たちは、こどもたちが、田原本町の豊かな自然に恵まれた環境の中で、人々の深い愛情に包まれ、夢と希望を抱きながら、次代を担うおとなへと心豊かに成長していけるよう、すべてのこどもを社会全体で応援するぬくもりのあるまちづくりを実現することを決意し、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、町のこどもに関する施策の基本理念を定め、町の責務、国及び他の地方公共団体との連携等並びに保護者、住民等、学校等関係者及び事業者の役割を明らかにするとともに、こどもに関する施策の基本となる事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に推進することにより、こどもが心身ともに健やかに成長することができる社会の実現に資することを目的とする。
(1) こども 18歳未満の者(18歳に達した後も引き続きこどもに関する施策の対象とする必要がある者を含む。)をいう。
(2) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者であって、こどもを現に監護するものをいう。
(3) 住民等 町内に住所を有する者、町内に居住する者及び町内で働き、又は学ぶ者(こどもを除く。)をいう。
(4) 学校等関係者 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設その他こどもが学び、又は育つことを目的として通学し、通園し、通所し、又は入所する施設の関係者をいう。
(5) 事業者 町内に事務所を有し、又は町内で事業活動を行う個人、法人又は団体をいう。
(基本理念)
第3条 この条例は、次に掲げる事項を基本理念として推進するものとする。
(1) 日本国憲法、児童の権利に関する条約、こども基本法(令和4年法律第77号)等の理念に基づき、こどもを権利の主体として尊重すること。
(2) こどもの有する権利を十分に尊重し、こどもの最善の利益を優先して考慮すること。
(3) こどもの個性、年齢及び発達の程度に応じて、こどもの成長の可能性を最大限に広げることができるよう取り組むこと。
(4) こどもが伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体でこどもを育む環境を整備すること。
(町の責務)
第4条 町は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、こどもに関する施策について、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、こどもの状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有するものとする。
2 町は、保護者、住民等、学校等関係者及び事業者がそれぞれの役割を果たすことができるよう、必要な支援及び調整を行うものとする。
(関係者間の連携及び協力)
第5条 町、保護者、住民等、学校等関係者及び事業者は、こどもの権利を守るため、相互に連携し、協力するものとする。
(保護者の役割)
第6条 保護者は、基本理念にのっとり、自らが子育てについての第一義的責任を有するとの認識の下、必要に応じて町等による支援を活用しつつ、適切な環境において、愛情をもってこどもを養育するよう努めるものとする。
(住民等の役割)
第7条 住民等は、基本理念にのっとり、町が実施するこどもに関する施策について関心及び理解を深めるとともに、こどもに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(学校等関係者の役割)
第8条 学校等関係者は、基本理念にのっとり、こどもが集団生活その他の活動を通じて、成長及び発達に応じた生きる力を身に付けることができるよう努めるものとする。
2 学校等関係者は、基本理念にのっとり、学校等における差別、虐待、体罰、いじめ等からこどもを守り、不登校のこどもに対し必要な支援を行う等こどもの安全安心を確保するよう努めるものとする。
3 学校等関係者は、基本理念にのっとり、こどもと地域とのつながりの拠点の一つとして、積極的に地域と交流するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第9条 事業者は、基本理念にのっとり、町が実施するこどもに関する施策について関心及び理解を深めるとともに、こどもに関する施策に協力するよう努めるものとする。
第2章 基本的施策
(虐待への対応)
第10条 虐待は、こどもに対する著しい人権の侵害であり、何人も、虐待を決して行ってはならず、及び許してはならない。
2 こどもを虐待から守るに当たっては、こどもの利益を最大限に配慮しなければならない。
3 町、保護者、住民等、学校等関係者及び事業者は、こどもの尊厳を守り、こどもが健やかに成長することができる社会の実現に向けて取り組まなければならない。
(こどもの意見の尊重)
第11条 町は、こどもの意見が年齢及び発達の程度に応じて尊重されるよう、その表明の機会を確保するとともに、こどもの権利及び利益の尊重に関する啓発その他の必要な施策を実施するものとする。
(こどもの安全安心の確保)
第12条 町は、こどもを犯罪、事故その他の危害から守るため、こどもの安全安心の確保に必要な施策を実施するものとする。
(こどもの学び及び成長への支援に係る環境整備)
第13条 町は、こどもの学ぶ意欲及び学ぶ権利を尊重し、こどもの成長の可能性を最大限に広げることができるよう、一人一人の個性に着目し、健やかな成長を促すとともに自立性及び主体性を育むために必要な環境の整備を図るものとする。
(子育て家庭及びこどもに寄り添った支援)
第14条 町は、様々な不安及び悩みに直面する子育て家庭を支援するため、特別な支援及び配慮並びに社会的養育を必要とするこどもへの施策の実施、専門的な相談、情報提供その他の状況に応じ、適切に取り組むものとする。
2 学校等関係者及び事業者は、特別な支援及び配慮並びに社会的養育を必要とするこどもを支援するため連携を図り、自らも課題解決に向けた取組を実施するよう努めるものとする。
(こどもからの相談への対応)
第15条 町は、こどもの不安及び悩みを解消できるよう、こどもからの相談に対応する体制の充実を図るものとする。
(支援を必要とするこどもへの支援)
第16条 町は、差別、虐待、体罰、いじめ、不登校、ひきこもり、経済的困難等(以下「差別等」という。)を理由とした支援を必要とするこどもに対し、こどもの状況及び置かれた環境に応じた支援を行うものとする。
2 町は、差別等の防止、早期発見及び迅速な対応に必要な施策を実施するものとする。
(計画の策定)
第17条 町は、こどもに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画を定めるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。