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唐古・鍵遺跡気候変動プロジェクト始動!

唐古・鍵気候変動プロジェクトで行うこと

本プロジェクトでは土器に付着した煤を「放射性炭素年代測定法」を用いることでおおよその年代を測定します。測定した年代には時代ごとに一定のズレが生じますが、年代ごとの正確な放射性炭素の量が整った水月湖の「年縞」と比較することで、このズレを修正できます。これにより、今まで相対的に新しい・古いを記録してきた唐古・鍵遺跡の土器編年がいつの年代のものか正確に分かるようになります。

また、出土した花粉化石を分析することで、当時の唐古・鍵の植生が分かり、当時の人々がどのような気候で生活していたのかが分かります。

これらの研究により、気候変動が当時の人々の暮らしにどのような影響を与えたのかを調べ、持続可能な未来に貢献することを目指します。また、年代測定の世界標準である年縞の精度をさらに上げることにも寄与します。
 

放射性炭素年代測定とは

 未知の出土品がいつの時代のものかを知る手段の一つが「放射性炭素年代測定法」です。生物の体に含まれ、時間の経過とともに一定のペースで量が減少する「放射性炭素」の残量を測定し、年代を逆算する手法です。

しかし、この放射性炭素年代測定法では時代によって数百年から数千年のズレがあります。時代によって大気中に含まれる放射性炭素(炭素14)の量にバラツキがあるため、全く同じ生物でも、時代によって体に含まれる放射性炭素の量が異なるからです。

年代ごとの正確な放射性炭素の量がきっちりと整った水月湖の年縞と比較することで、このズレを修正し正確な年代が分かります。 
 

年縞とは

ねんこう

長い年月の間に湖沼などにプランクトンの屍骸や土、鉱物などが堆積した層が描く縞模様の湖底堆積物のことで、夏・冬で縞模様が異なり、1年の縞が形成されます。


何万年も前の出来事を1年刻みで記録していることから、現在の年代測定の世界標準となっています。


本プロジェクトでは福井県の水月湖と中米グアテマラ共和国のペテシュバトゥン湖の年縞を使います。これらの年縞は現在、唐古・鍵考古学ミュージアムでも展示しています。
 

唐古・鍵遺跡がこのプロジェクトに参画する理由

唐古・鍵遺跡では、弥生時代全期間の約700年間の土器や種子、動物骨等が出土している全国的に例のない遺跡です。そのため、弥生時代を通してどのような気候変動があったのか、また、集落や人々の生活、生業に変化をもたらしたのか、調べるのに最も適した遺跡なのです。

関連イベント

キックオフ講演会を開催しました

キックオフ講演会

令和6年9月22日開催。本プロジェクトの代表である中川毅先生(立命館大学教授)より、年縞の研究により分かった大昔の気候変動と、何万年も前、現代の温暖化をはるかにしのぐ「激変する気候」を、どのように私たちの祖先は生き抜いてきたかについて解説していただきました。
 

関連ミニ展示開催中!

ミニ展示

唐古・鍵考古学ミュージアムでは現在、本プロジェクトに関連した展示を行っております。年代測定の世界標準である「年縞」や、中米アグアダ・フェニックス遺跡の3D模型、唐古・鍵遺跡の土器編年表などプロジェクトの内容を分かりやすく展示しておりますので、ぜひご覧ください
※観覧料が必要です。
 

この記事に関するお問い合わせ先

担当課:唐古・鍵考古学ミュージアム
電話:0744-34-7100