矢部観音堂の十一面観音立像

木造十一面観音立像

木造十一面観音立像

木造毘沙門天立像

木造毘沙門天立像

区分

有形文化財 (彫刻) 【町指定】

名称

木造十一面観音立像 1軀

附(つけたり) 木造毘沙門天立像 1軀

※附…文化財本体に関連する物品や資料などを本体と併せて文化財指定すること

時代

平安時代 11世紀末~12世紀前半

所在地

奈良県磯城郡田原本町大字矢部707

交通

近鉄橿原線笠縫駅下車 西へ徒歩20分

内容

田原本町南西部の矢部にある矢部観音堂に伝わる等身大の十一面観音立像です。左手に水瓶(すいびょう)、右手に錫杖(しゃくじょう)を持つ長谷寺式十一面観音と呼ばれる姿をしています。

眼を伏せた優しい表情や、腰をわずかに左へひねるゆったりとした体勢、胸や腹の肉取りを控えた穏やかな表現などに、平安時代後期の仏像にみられる特色がよくあらわれています。一方で、面長な目鼻立ち、やや低い膝頭の高さや衣の表現などに古風な表現があることから、製作は平安時代後期でも11世紀末から12世紀前半と考えられます。

頭上面や腕、光背などはのちの時代の修理によるもので、左足には修理の記録とみられる「大永三年」(1523)の墨書が残ります。地域の人が幾度も修理を施して本像を大切にされてきたことがうかがえます。

本像は、大きさ、構造技法や作風から優品であり、町内では数少ない等身の平安時代の仏像の大作として注目すべきものです。

なお、観音堂に隣接して、毘沙門天像(江戸時代)を祀る小堂があります。これは、観音が毘沙門天に変身して人々を救うという信仰があったことによると考えられます。観音と毘沙門天を一セットとして祀る信仰が形として残っているのは珍しく重要であるため、毘沙門天立像も併せて指定しました。

  • 拝観の申込は、文化財保存課へお問い合わせください。
この記事に関するお問い合わせ先

担当課:文化財保存課保存活用係
電話:0744-34-7100