令和3年第1回田原本町議会定例会施政方針

町政運営の基本方針

~『子どもから高齢者まで 誰もがいきいきとした 暮らしを楽しむまち
たわらもと』を目指して ~


令和3年第1回定例会に際しまして、令和3年度一般会計予算をはじめとする各議案のご審議をお願いするに当たり、町政運営に臨む基本的な考え方と主要施策の概要を申し述べさせていただき、町民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

町政を担わせていただくようになり、はや5年が経過いたしました。私は、就任当初から「みんなでつくる田原本」を合言葉に、山積する様々な課題の解決に努め、また「子育てしやすい未来」、「住み続けたい未来」、「安心して暮らせる未来」の3つの未来の実現に向け、全力で取組みを進めてまいりました。

しかしながら、昨年に発生した新型コロナウイルス感染症は全世界で大流行し、経済をはじめ私たちの日常生活にも甚大な影響を与えています。本町では、昨年2月に感染症対策本部を立ち上げ、迅速な対応に万全を尽くしてまいりました。当初より町民皆様のご協力を賜りまして、大きな感染に繋がらぬよう、感染防止対策を徹底し、また、スピーディーに町独自の支援策を講じるなど、すべきことを積極的に実施してまいりました。今後の感染症に関する取組みがおそらく長期戦となることを覚悟のうえ、町民皆様の豊かな暮らしや事業、雇用を守り抜く気概を持って、新しい日常へ順応する社会システムの構築を目指してまいります。

現在、国の最優先課題といたしまして、国民への早急な新型コロナウイルスワクチン接種が地方自治体に求められています。本町におきましても、一日も早い感染症の収束と、町民皆様の安心な暮らしに繋がるよう、安全かつ円滑な接種体制の確保に向け、全力で取り組んでおります。

コロナ禍で、生活やワークスタイル、人と人との繋がりなど、意識・行動の一時的な変化のみならず、生活様式や働き方、根本的な価値観が大きく変化しつつあります。そのような変容を的確に捉え、先を見据えた行財政運営に取り組むことが重要です。また、「Society5.0」時代の社会においては、デジタル・ガバメントによる行政の電子化や自動化など、高度化や効率化が求められておりますことから、新年度を本町の「行政デジタル元年」と位置付け、ICTなどの先進技術を利活用することで、住民サービスの向上や業務効率化も含めたスマート自治体への転換を進めてまいります。

本年3月は、東日本大震災の発生から丸10年の節目を迎えます。近年は地震や豪雨災害が頻発し、激甚化するなど、わが国は「大災害時代」に突入しています。今後、国難ともなり得る南海トラフ巨大地震の発生も危惧されており、地域防災の備えを強めなければなりません。町政運営の根幹の一つは、安心安全な町民生活の維持であり、本町においても平成29年の台風21号による浸水災害等での新たな教訓、知見及び課題を踏まえ、今春「地域防災計画」を改訂し、今後予期せぬ災害が発生した場合に町民皆様の生命、財産、生活を災害から守るため、また地域や関係機関との連携と災害対応力の高い組織体制を構築いたしました。また、奈良県平成緊急内水対策事業として、令和元年10月に着手いたしました田原本町社会福祉協議会駐車場及び田原本町埋蔵文化財センター駐車場の雨水貯留施設整備事業が、今月末に竣工予定となっております。一歩一歩着実に、目に見える形で、災害に強いまちづくりが進んでいることを実感しております。

少子高齢化とともに、加速度的に進む人口減少課題に対し、地方自治体の積極的な対応が求められている中、本町におきましては、「たわらもとに住もう!」をスローガンに掲げ、移住定住をはじめ、様々な世代のニーズに耳を傾け、多様な取組みを実施いたしましたところ、本町への転入者が増加し、令和元年度の社会動態を大幅に改善することができました。また、県と磯城郡3町との間で覚書を締結し、現在協議を進めております「大和平野中央プロジェクト」に基づくまちづくりは、本町の土地が持つポテンシャルを活かし、更に高め得る、新しい未来に向けた千載一遇のチャンスと捉えておりますことから、本町としましては、その実現に向け、積極的に参画をしてまいりたいと考えております。

コロナ禍にあって、未だ世界中が不安定な状況ではございますが、私は、事業の精査・見直し、新たな視点でまちづくりを再構築する機会と捉えています。町民皆様に「田原本に住んでいて良かった」と思っていただけるよう、また、町外の皆様には「たわらもとに住みたい」と思っていただけるよう、活力と魅力あふれるまちの未来を描きつつ、『子どもから高齢者まで 誰もがいきいきとした 暮らしを楽しむまちたわらもと』の実現に向け、全力を尽くし果敢にチャレンジしてまいります。

~経済情勢と本町の財政状況を踏まえて~

我が国経済における景気の基調判断では、「景気は新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられ、個別では、個人消費は持ち直しの動きに足踏みがみられ、設備投資は下げ止まりつつあり、企業収益は、大幅な減少が続いているものの、総じてその幅には縮小がみられる。」とされております。

また、先行きについても、「感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」とされており、不透明感が漂っています。

こうした状況の下、国においては、「経済財政運営と改革の基本方針2020」において、「新型コロナウイルス感染症拡大により我が国経済は甚大な影響を受け、総じて極めて厳しい状況にあり、今回の感染症拡大で顕在化したデジタル化・オンライン化の遅れ(特に行政分野)、都市過密・一極集中のリスク、新しい技術を活用できる人材不足等の課題等が浮き彫りとなる中、これらの課題等を克服した後の、ポストコロナ時代の新しい未来における「新たな日常」を通じた「質」の高い経済社会の実現を目指す。」としています。

本町においては、後年度の財政負担を可能な限り軽減するよう財政運営に努めておりますが、令和元年度決算においては経常収支比率が平成30年度より1.6ポイント上回り99.6%と、実質公債費比率が1.1ポイント上回り9.0%となっております。景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況の中、今後の大幅な税収増は期待できず、また、社会保障関係費の伸びや公共施設の老朽化による維持管理・改修経費も増加することは確実であります。

以上のような社会経済情勢や本町の財政状況の下、予算の執行に当たりましては、歳入歳出両面において精査を行い、引き続きこれらのことを念頭に財政運営に取り組むとともに、多様化・高度化する町民需要に対応してまいります。

まちづくりの施策について

それでは、令和3年度のまちづくりの施策について、ご説明申し上げます。

1「子育ての願いをかなえるまちづくり」への取組み

若い世代が安心して結婚・妊娠・出産・子育てができる環境の充実を図り、確かな教育と様々な学習の取組みを通じた次代を担う子どもたちへの質の高い教育の提供、心身育成を促すための施策について、申し上げます。

ふるさと教育

町の将来を担う子どもたちが充実した教育を受けることができるよう、環境の整備を行い、地域の歴史文化の学習を通じて地域への愛着の醸成を図ります。

小学校への学習出前授業や副読本などの活用により、国史跡唐古・鍵遺跡をはじめとする歴史的資源や地域の歴史文化の大切さについて学び、ふるさとへの愛着を育みます。また、放課後子ども教室の充実、部活動の外部指導、学校・地域パートナーシップ事業として子どもたちの学習支援を行うなど、学校・家庭・地域が一体となり、地域ぐるみで子どもたちに学習の機会や様々な体験・交流活動の機会を確保し、青少年の健全な育成を推進するとともに、子どもの基礎学力の向上を図ります。

保育・幼児教育

多様化する子育てニーズに対応するため、きめ細かな子育て支援の充実と就学前教育の充実、障がいのある幼児一人ひとりの教育的ニーズに対応した特別支援教育が必要です。
共働きの増加や核家族化の進行により保育所への入所希望が依然増加していることから、待機児童を解消し多様化する保育ニーズに対応するため、昨年3月に策定をしました、第2期田原本町子ども・子育て支援事業計画に基づき、基本理念『すくすくと 子どもが育つ たわらもと』の実現に向け、家庭と地域、社会が一体となって子どもの成長を支えるまちを目指します。また、保育の必要量を確保し、待機児童の解消を図るための認可保育所を新設すべく、保育所の設置・運営を行う民間事業者を公募し、施設整備費の一部補助を行います。

通常保育に加え延長保育、一時保育、病後児保育、幼稚園での預かり保育を実施し、保育の充実に努めているところでございますが、本年4月より、認定こども園平野幼稚園に続き、田原本幼稚園を、本町2園目となる幼稚園型認定こども園として、開園いたします。

仕事などで、昼間、保護者が家庭に不在である小学生児童に対し実施しております放課後児童健全育成事業につきましては、宮古保育園に併設の学童保育所に対し運営費の補助を行うことに加え、田原本学童保育所を1クラス増の4クラスとし、放課後児童保育サービスの充実を図ることで、子どもたちの安全・安心を保障し、児童の健全な育成を図るとともに、子育て世代の仕事と子育ての両立支援に取り組みます。

加えて、かねてより準備を進めてまいりました、ファミリーサポートセンター事業、これは乳幼児や小学生等を子育て中の保護者等を会員とし、子どもの預かりなど、援助を受けたい方(依頼会員)と援助をして下さる方(援助会員)との相互援助活動に関する連絡・調整を行うものでありますが、いよいよ今月1日より、利用申込をしていただけることとなりました。多様化する子育て支援ニーズに対応し、子育て中の家庭を地域で支え合う相互援助活動の推進により、子育て支援に対する機運を高め、子育て支援の輪を広げてまいります。

学校教育

子どもたちが確かな学力を身につけられるよう指導の充実を図るとともに、人間性豊かな児童・生徒の育成に努める必要があります。また、安心して学べるよう、校舎の老朽化対策等、学校施設の整備充実を図る必要があります。
  本町においては、今後少子化がより一層進展していくことが予想され、現在適正な教育環境が維持できなくなりつつあります。今月末にアンケート、ワークショップ、庁内検討会議での協議結果を踏まえ策定されます「田原本町小中学校施設再配置基本計画素案」を基に、外部有識者を交えた協議、住民説明会を実施のうえ、「田原本町小中学校施設再配置計画」を策定いたします。これにより、少子化を見据えた学校施設の規模適正化に努め、次代を担っていく田原本の子どもたちが集団生活の中で切磋琢磨しながら社会性や知識を身につけ、健やかに育ち、学べる環境の維持に取り組んでまいります。
児童や保護者を取り巻く状況は年々複雑化・多様化してきている中、コロナ禍で教育デジタル化が脚光を浴び、環境整備が急務となりました。本町におきましても、文部科学省が推進するGIGAスクール構想の下、本年度に1人1台のタブレット端末環境を整備したところでありますが、学校教育におけるICT活用、家庭への端末の持ち帰りを、より積極的に進めていく中で、ICTを活用した学びの出発点として、小学校5・6年生及び中学生全学年を対象に、国庫補助金を活用して1教科分の学習者用デジタル教科書の導入を行います。そして、デジタルコンテンツや学習ログの活用により、学びの保障・充実、特別な配慮を必要とする児童・生徒の学習上の困難の低減を図り、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、個別最適化された学びを持続的に実現すべく、教育デジタル化を計画的に推進してまいります。加えて、指導者側への支援として、ICT教育推進にかかる支援員を配置し、円滑な事業実施に向け、サポート体制を整えてまいります。
校舎老朽化に伴う施設整備につきましては、平野小学校の南館13号棟及び田原本中学校南館6号棟の屋上防水シート等の劣化による雨漏りの発生、天井部分の腐食による落下の危険性があることから、いずれも、全体の屋上防水改修工事を行い、児童・生徒が安全な環境下で、安心して学校生活を送れるよう、整備を行います。
また、成績処理等の学校事務、スケジュール管理、中学から高校への入試事務等を行う統合型校務支援システムを導入し、庶務事務の簡素化を図り、授業の充実と教育全体の質の向上に繋げてまいります。こちらは、令和6年度中に県内全市町村で共同運用される予定となっております。
また、これまで直営で行っておりました東小学校の学校給食調理業務につきまして、他校同様、民間業者に委託することで安定した学校給食の提供を行ってまいります。

結婚・妊娠・出産・子育て

多様化する子育てニーズに対応できるきめ細かな子育て支援に向け、行政と地域が一体となった子育て支援の充実を図ります。
女性の社会進出が進む中、多様化し必要性の高まっている子育て支援ニーズに対し、きめ細やかな各種支援を充実してまいります。また、地域の繋がりの希薄化により、地域で子どもを育てるという認識が薄れつつあることから、子育ての孤立化に伴う不安感や負担感を軽減するため、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安や悩みを相談できる場所として、「すこやかひろば」と「はぴすまひろば」2箇所の子育て支援拠点、子育て世代包括支援センターにおける、相談窓口及び子どもの遊び環境の充実を図ってまいります。また、今月1日より開始しております「ファミリーサポートセンター事業」につきましては、子育ての手助けをしてほしい依頼会員と、子育ての手助けをしたい援助会員との相互援助活動を繋ぐことで、子育て中の家庭を地域で支え合うサポートをし、子育てしやすいまちを目指して学校・家庭・地域が連携することにより、地域情報の共有と教育力の向上を図ってまいります。
また、子育てにかかる経済的負担の軽減を図るとともに、妊産婦から乳幼児への切れ目のない支援と保健・医療体制を確立することで、子どもを産み、育てやすい環境を整え、若い世代が安心して結婚し、妊娠と出産、そして子育てできる環境の充実を図ります。多胎妊婦のための妊婦健康診査費用の15回目以降にかかる自己負担分について、2万5千円を上限として助成します。また、本町との連携協定締結団体であり、本町で経済的に困難な状況にあるひとり親家庭に対し仏様のお供えを「おさがり」として「おすそわけ」する支援活動をされている認定NPO法人おてらおやつクラブに対し、ガバメントクラウドファンディング制度を活用して活動経費補助を行い、子どもの貧困という社会課題解決のサポートを行うことで、コロナ禍の影響も相まって経済的・精神的に困窮されている、ひとり親家庭への支援に繋げてまいります。
また、過日締結した一般社団法人ならよめとの包括連携協定に基づき、進行する少子化とその要因としての未婚化・晩婚化への対応策として、ウィズコロナ、アフターコロナ時代に合った、住民が交流を図り男女の出会いのきっかけとなる婚活イベント等の実施により、結婚を希望される独身男女の出会いの機会創出による結婚支援を行うことに加え、新たに結婚新生活支援事業として結婚に伴う新生活のスタートアップ支援を行うことで、地域における少子化対策の強化を図ってまいります。

 

2「健康で安心な暮らしを支えるまちづくり」への取組み

高齢化が進む中、誰もが住み慣れた地域で安心な暮らしを楽しむことができるよう、自助・共助・互助・公助により、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築し、高齢者福祉の充実、保健・医療の充実と連携強化、介護予防の推進に取り組みます。また、障がいのある人には切れ目のない支援により、社会保障の健全な運営と充実を図ってまいります。

高齢者福祉

高齢者の健康づくりや生きがいづくり支援により健康寿命延伸を図るとともに、地域包括ケアシステムの構築と福祉サービスの充実により、年齢を重ねても住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、高齢者の生活環境の充実を図ります。また、必要に応じ適正な介護を受けられるよう、介護保険事業の適正な運営に取り組んでまいります。

本年1月末現在、本町の高齢化率は31.59%であり、昨年1月末時点と比較しても0.38%上昇しており、今後更なる高齢化の進行が想定されます。2025年には5人に1人が認知症に罹患すると言われておりますが、誰もが元気でいきいきと住み慣れた環境で生活し続けられるよう、講演会や認知症予防教室の開催を通じ高齢者の健康意識向上を図ります。最新の科学的技術や科学的根拠に基づく「健幸な」まちづくりを目指す「スマートウェルネスシティ」構想の下、高石市をはじめ4団体の飛び地自治体連携により、昨年10月より国の交付金を活用し実施しております、SIB手法によるヘルスケアプロジェクト事業につきましては、40歳以上を対象とし、健康無関心層にも積極的に働きかけ、活動量計やスマホの活用等、ICTを活用した個人の健康状態に応じた安全かつ効果的な健康増進プログラムの実施、事業効果のデータ化、可視化を行うことでエビデンスに基づく健康長寿を目指す取組みを推進するとともに、健康増進や生活習慣病等の予防、改善・重症化予防により「全世代活躍のまち」の実現を図り、将来的な医療費・介護給付費等、扶助費の抑制に繋げてまいります。

また、認知症カフェ、認知症の方やその家族を支える認知症サポーター養成により、引き続き認知症に対する住民の理解を深めるとともに、早期診断・治療に繋がる相談窓口の充実や専門職によるサポート等、家族を含めた支援環境を整えることで、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりに取り組みます。   

また、ヘルスケアプロジェクト実施等により健康意識向上、介護予防の推進を積極的に図るとともに、介護が必要になっても可能な限り住み慣れた環境で生活を続けることができるよう、地域における生活支援サービス体制の整備、医療・介護サービスにかかる専門職間の連携を更に密にし、在宅医療と介護サービスが一体的に提供できるよう、引き続き在宅医療・介護連携体制を整えてまいります。

また、介護サービスの質的な向上と介護認定や給付内容の適正化に努め、引き続き介護保険制度の円滑な運用に努めます。

地域福祉

災害時における地域力の重要性が再認識される中、地域で共に支え合い、助け合えるような地域福祉ネットワークづくりに努めます。

人と人との繋がりが希薄化する中、福祉意識の高揚と地域で互いに支え合う意識を醸成するため、社会福祉協議会の体制充実を図るとともに、各種団体やボランティアなどの主体的な活動を支援し、 “共に生き、支え合う社会”の実現を目指します。また、地域福祉計画につきまして、令和4年度で5年間の計画期間が終了することから、第2期地域福祉計画策定に向けたアンケート等調査事業を実施し、策定に向け準備を進めてまいりますとともに、住民主体による地域福祉の推進を図り、地域福祉ネットワークづくりを進めてまいります。

保健・医療

がん検診の受診環境の充実や、住民の主体的な健康づくりの支援を行うとともに、医療機関や関係機関との連携により、災害等緊急時に強い救急医療体制の強化を図ります。

まずは、一日も早い新型コロナウイルス感染症の収束と、町民皆様の安心な暮らしに繋げるため、希望される皆様に、速やかに新型コロナウイルスワクチンの接種が可能となるよう、接種の優先順位を踏まえた接種体制の構築を進めてまいります。ワクチンの供給量や予定、具体的な接種開始時期等、国から示される情報が不足しており、不確かな部分も多い状況ではありますが、死亡者や重症者の発生をできる限り減らし、結果として新型コロナウイルス感染症の蔓延防止を図るため、国や県とも連携を図りながら、遅滞なく的確に進めてまいります。

また、これまでの健康づくりや食育の推進の取組みを継続実施し、増加傾向にある生活習慣病への対策として、予防のための知識の普及・啓発などを行う健康づくり推進員、健康の維持・増進に食生活の面から取り組む食生活改善推進員の効果的な活動を支援してまいります。

障がい者福祉

障がいがあっても安心して暮らし続けることができるよう、障がい者福祉の推進体制の充実を図るとともに、社会参加のために必要な支援や環境づくりに取り組みます。

障がい者の相談件数は年々増加しており、その内容も多岐にわたります。より一層、関係機関と連携強化を図り、家族支援も含めた相談支援体制を強化するとともに、ノーマライゼーションの意義や障がいのある人に対する正しい理解が得られるよう広報紙での啓発を行い、引き続き支援の充実に取り組み、障がいの有無にかかわらず誰もが住みやすく、理解し合い、支え合い、ともに生きる共生社会の実現を目指し、障がい者福祉施策を推進してまいります。

また、これまで身体障害者手帳1級、2級を所持されている方、また療育手帳A1、A2を所持されている方を対象に、生活行動範囲の拡大と社会参加の促進を図る目的で、福祉タクシー利用券24枚を交付してまいりましたが、精神障害者保健福祉手帳保持者についても対象にしてほしい、との強い要望をいただいておりました。そこで、新年度より、新たに精神障害者保健福祉手帳1級所持者の方も対象に追加し、同様に利用料金の一部助成を行うことで支援を行ってまいります。

社会保障

国民健康保険制度は、平成30年4月より県域での運営となっておりますが、引き続き被保険者の健康の保持・増進のための予防施策や保健事業の充実に努め、後期高齢者医療についても、同様に充実を図ってまいります。また、生活保護につきましては、支援体制づくりを進めます。

国民健康保険被保険者の健康保持・増進のため、予防施策を中心とした人間ドック、脳ドックの助成や疾病の予防、重症化防止など、引き続き健康づくりを推進してまいります。また、ヘルスケアプロジェクトの対象年齢を40歳以上に拡大したことで、早い段階から健康意識の高揚を図るとともに、インセンティブ付健康プログラム提供により行動変容を促し、健康長寿を目指す全世代活躍のまちを実現することで、医療費・介護給付費等、扶助費の抑制を図ってまいります。

また、セーフティネットである生活保護につきましては、コロナ禍の影響で、生活に困窮される状況となったことに伴う、新規の保護申請の増加や高齢者の保護受給者の増加が見込まれますことから、引き続き実施機関と連携を図り、相談支援を行うことで、適正保護と自立生活に繋げてまいります。

3「潤いや喜びを与える学びとスポーツのまちづくり」への取組み

「学びやスポーツを楽しむことができるまち」の実現に向け、住民一人ひとりの個性が尊重され、それぞれが生きがいを持って暮らせるよう、生涯学習環境の整備と体制の充実を図り、積極的に参加していただけるよう、取り組んでまいります。

生涯学習

学びたい人が学びたい時に学べるよう、学習体制の充実を図るとともに、青垣生涯学習センターを中心とした生涯学習環境を整備し、文化鑑賞など質の高いイベントを提供します。また、図書館事業の充実を図り、読書機会の拡大と住民の読書活動の支援に取り組みます。

昨年は、コロナ禍のために、やむなく中止の判断をさせていただいたイベントが多数あり、また、青垣生涯学習センターを中心に学びの場の提供をしております各種教室等につきましても、コロナ禍の影響もあり、参加率の低迷が見受けられました。しかしながら、このような時だからこそ、心の豊かさや生きがいに繋がる生涯学習環境の充実を図り、ウィズコロナ、アフターコロナの時代に合致した内容とすることで、より多くの方にご参加いただけるよう、そして町民皆様が再び文化的で潤いのある暮らしを送ることができるよう、引き続き体制や環境、内容の充実を図り、青垣生涯学習センターの利用促進に努めてまいります。

また、茶道や生け花等の文化教室、野球や卓球などのスポーツ教室等、英語や算数等の学習教室等、青垣生涯学習センター及び中央体育館での放課後子ども教室を継続実施いたしますことに加え、小学5~6年生、中学生を対象に、基礎学力や学習習慣を身に付けるための学習支援教室を新たに開講、民間学習塾への委託事業として実施し、学力の底上げを行います。

また、「子ども読書活動推進計画」に基づき、学校・幼稚園・保育園等と連携しながら、子ども達が読書にふれる機会を増やしてまいりますとともに、書道家を招いた書道のアートイベントを図書館で実施し、館内でのパフォーマンスや書道教室により、芸術への造詣を深めていただき、図書館来訪と利用の契機としていただくような働きかけを行ってまいります。

スポーツ・レクリエーション

誰もが安心、安全にスポーツを楽しめるよう、体育施設の適切な維持管理に努めるとともに、スポーツ・レクリエーション活動の普及・啓発に取り組みます。

住民のスポーツ活動拠点となっている中央体育館ややすらぎ体育館等の施設は老朽化が進んでおり、指定管理者制度の活用を念頭に、計画的に整備してまいります。

また、子どもから高齢者まで誰もがスポーツに親しみ、自然と運動習慣を身に付けられるよう、各種教室・イベントや大会を開催し、スポーツへの参加意欲の高揚を図るとともに、各スポーツ団体を支援することで、住民の自主的なスポーツ・レクリエーション活動の継続をサポートしてまいります。

なお、2020東京オリンピック・パラリンピックの開催がコロナ禍で1年延期されましたことから、本町のオリンピック・パラリンピック関連事業につきましても、同様に1年ずらしての実施となっております。

なお、これまでのグアテマラ共和国の事後交流型ホストタウンに加え、本年2月26日に同国の共生社会ホストタウンとしても登録されましたことから、共生社会実現に向けた取組みの推進も図りながら、オリンピック・パラリンピックホストタウン事業を進めてまいります。

新型コロナウイルスの感染拡大という予想外の事態により、オリンピック自体の開催が危ぶまれる状況で、期待と不安が交錯する中、世界的に進められているワクチン接種の進捗度合に左右されるところもあるのではないかと思われますが、オリンピック・パラリンピック組織委員会及び国の動向を注視しながら、本町としての準備を着実に進め、開催が実現した暁には、レガシーを残せるよう、また、この機を捉え国内外に本町をしっかりとPRできるよう、情報発信に取り組んでまいります。

歴史文化

本町に残る、指定文化財を含む貴重な文化財を後世に引き継いでいくため、適切な保存、管理を進めるとともに、多くの人に文化財に触れてもらえるよう、活用にも取り組みます。これまでに引き続き、唐古・鍵遺跡史跡公園において、指定管理者との連携を密にし、サクラまつりや弥生のムラまつりをはじめとした賑わい創出の場として活用し、魅力ある事業を展開することで、町内外から多くの方々に来園していただけるよう、集客を図ってまいります。また、唐古・鍵考古学ミュージアムにおいては、企画展の実施や情報発信により、活用を図ることで、郷土愛・文化財愛護精神の育成を図ってまいります。

人権の尊重

人権尊重の視点に立った行政運営を進め、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合い、少数者・多様性を認め合える共生社会の実現に取り組みます。また、性別に関係なく、意欲に応じ様々な分野で活躍できる社会の実現、ワークライフバランスのとれた生活を送れる環境づくりのため、近隣市町村や民間企業とも連携し、研修の実施や啓発、男女共同参画社会の推進を図ってまいります。

4「安全で快適な暮らしを支えるまちづくり」への取組み

豊かな自然や奥深い歴史文化を感じつつ、快適な住環境で日々の暮らしを楽しむことができるまち、また、災害に強く犯罪や交通事故のない安心安全なまちの実現に取り組みます。

市街地整備

田原本駅周辺の中心市街地を核に、周辺に住宅系の市街地、その外側に田園地帯が広がるコンパクトな構造をした土地利用を基本に、計画的なまちづくりを進めます。町の玄関口である田原本駅周辺整備を行い、快適な生活環境を確保しつつ、賑わいと活気のある魅力的なまちづくりを推進してまいります。

京奈和自動車道が県内全ての区間で事業化、既に一部が開通となったことで、町西部において市街化区域への線引きの見直しの気運が高まる中、都市計画マスタープランに基づき地区特性に応じた土地利用の誘導を、引き続き図ってまいります。なお、県の事業である「大和平野中央プロジェクト」に関し、県と磯城郡3町との間で、協議に関する覚書を昨年10月11日に締結したところでありますが、交通アクセスが良く、土地のポテンシャルが高い大和平野中央部において一団の土地を確保し、健康増進のまち、スタートアップのまち、食と農が振興できるまちを目指す、県の「まちづくり構想」を今後推進されるにあたり、新年度に事業実現性の見極め、候補地の絞り込みが行われます。まちづくり構想の中では、奈良県立大学理工系学部の設置や、令和13年に実施が予定されております国民スポーツ大会(旧、国民体育大会)関連の運動施設整備が予定されており、学生を中心とした若者の往来、運動施設を核としたスポーツ振興が活発に図られることは、今後の人口減少を考えますと、本町の活力を維持・向上していく上で、非常に大きなプロジェクトであると考えております。当プロジェクトに伴うまちづくりを新しい未来に向けた千載一遇のチャンスと捉え、利便性が高い交通アクセスや、本町が有するポテンシャルを未来のまちづくりに最大限活用できるよう、全面的に県と連携・協力し、積極的に参画をしてまいりたいと考えております。

田原本駅周辺整備につきましては、新年度でビル施設用地購入、組合への補助等を行い、令和4年度、令和5年度で再開発ビル建設工事が行われ、6年に亘る大きなプロジェクトがいよいよ完成に向け、動き出します。生活利便性やブランド価値の向上、人口増等、本町の未来にも繋がる、南地区市街地再開発事業を引き続き着実に推進し、魅力ある田原本駅周辺のまちづくりに取り組んでまいります。

道路・交通

京奈和自動車道を活かした広域道路のネットワーク化を目指し、幹線道路を整備するとともに、安心で安全な道路環境を確保するため、生活道路を整備します。また、高齢や障がいなどにより移動に制約のある方の移動手段を確保するため、交通環境の整備、充実に取り組みます。

幹線道路・生活道路の整備につきましては、通学路安全対策や工業ゾーン周辺道路等、重要性と優先順位を考慮し、計画的な整備と維持管理を行います。橋梁につきましては、橋梁長寿命化に向け、ECI方式により定期点検・修繕計画・橋梁補修設計の複数年包括業務委託を実施しており、新年度は町内363橋についての橋梁長寿命化計画を策定し、効率的で効果的かつ的確な予防保全を行ってまいります。

交通環境整備につきましては、移動制約者の方を対象としたタワラモトンタクシー利用料金助成を継続実施してまいりますとともに、昨年11月に施行の地域公共交通活性化再生法に基づき、今後の公共交通の在り方等について示す田原本町地域公共交通計画を策定してまいります。

上下水道

上水道の経営安定化のため、令和4年4月の磯城郡3町での一部事務組合による事業開始に向け、事業認可手続きなどを行い、公営企業会計システム等を新たに構築・統合し、県域水道一本化も見据え、引き続き広域化に向けた取組みを推進してまいります。また、緊急時の漏水対応等に迅速に対応できる体制の強化を図り、安心・安全な水道水の安定供給に取り組んでまいります。

下水道につきましては、引き続き経営の健全化を図るとともに、ストックマネジメント計画に基づき、計画的かつ効率的な施設の維持管理、及び整備に取り組んでまいります。

なお、磯城郡水道広域化に伴い、令和4年度から一部事務組合の事業が開始することから、新年度中に、下水道課の執務室を現在の水道事業庁舎から移転します。

住環境

田園都市としての美しい景観を守り、誰もが暮らしやすいまちづくりの推進と、公園の適正な維持管理に取り組みます。

人口減少、少子高齢化に対応するためには、若い世代が定住しやすい住環境の整備が必要であることから、新たに、国の地域少子化対策重点推進交付金を活用した結婚新生活支援助成により、住宅取得や家賃等、新婚世帯のスタートアップ支援を行い、定住人口増へ繋げてまいります。

また、防犯、防災面や景観面等の観点から、地域環境の悪化に繋がる特定空家について、解体撤去を行政が代執行で行えるよう備えるとともに、特定空家や不良住宅である空家の除去費用の一部補助を行うことで、老朽危険空家の除去を促進し、代執行の未然防止、居住環境の整備改善を図り、魅力ある景観形成と緑豊かな田園景観の保全に努めます。

また、都市公園の維持管理につきましては、安らぎと憩いの場として安心・安全に利用いただけるよう、適正に管理を行うとともに、多種・多様化する利用者ニーズに対応すべく、有効な活用方法や公園の統廃合等についても検討を進めてまいります。

生活環境

本町の豊かな自然環境の保全や、自然エネルギーの普及・促進等、環境保全の推進に取り組むとともに、環境学習の推進、廃棄物抑制とリサイクル促進による循環型社会の構築、資源循環・エネルギー再利用の更なる促進によりエコでクリーンな町を目指し、安心・安全に暮らせる生活環境の保全に取り組みます。

地球温暖化が年々深刻化する中、今月に策定予定の「地球温暖化対策実行計画」に基づき、温室効果ガス算定システムを構築し、まずは庁舎の温室効果ガス発生の抑制に取り組みます。

また、ドイツのシュタットベルケの発想に基づく取組みとして、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの地産地消の促進に向け、地域再エネ事業実現可能性調査を行います。導入が叶えば、これまで外部流出していた再生可能エネルギーの地域経済循環が行われ、環境問題の解決、災害時における電力調達等、地域課題の解決と、持続可能なまちの構築に繋がる取組みとなります。

また、循環型社会の構築に向けた新たな取組みとして、食品資源循環事業を実施します。学校給食や家庭から排出される、資源化可能な調理くずや食べ残しを、バイオマス発酵により堆肥化し、学校や住民に配布して花を育てていただき、食品リサイクルとゴミ減量化に繋げる、「花と笑顔を咲かせる運動」を進めてまいります。

また、庁舎にペットボトル回収ボックス及び潰し機を設置し、ペットボトルを潰し排出していただけるよう、皆様に周知を図ってまいります。

また、今月末に浄化センターし尿処理施設が耐用年数を迎え稼働停止となることから、新年度より天理市に、し尿処理の委託を行うとともに、ゴミ収集職員の新型コロナウイルス感染等の緊急時にも滞りなく収集を行えるよう、民間に委託できる体制を整えることで、安心して暮らせる生活環境を確保してまいります。

防災・防犯・交通安全

予期せぬ災害に対し、住民や関係機関と連携し、安心して暮らせる環境をつくるため、地域防災、及び防犯体制の充実、交通安全対策の推進に取り組みます。

本年度に改定した地域防災計画、新たに策定した国土強靭化地域計画に基づき、危機管理体制の強化と強靭化対策を推進してまいります。また、いつどこで起こるか分からない災害に対しては、「自分の命は、自分で守る」という意識の下、「自助」・「共助」の取組みが非常に重要となることから、防災フェスタの開催により、災害に対する認識を深めていただくとともに、地域や家庭で行える防災対策や防災意識の向上を図り、地域における防災意識の醸成と防災活動の推進を図ってまいります。

また、本町は水害が発生しやすい地域であり、内水被害に悩まされてまいりましたが、県のご理解を得て、「奈良県平成緊急内水対策事業」として県下第1番目に貯留施設等整備工事が行われ、本町社会福祉協議会駐車場及び本町埋蔵文化財センター駐車場での長期に亘る工事が、今月いよいよ竣工を迎えます。当事業は、県下第1号の工事着手ということでも注目されましたが、ダムと堤防が基本であった国の治水対策が、流域治水により河川行政の大きな転換点となることでも注目されており、令和3年度から5年間の、国における「防災・減災・国土強靭化のための5か年加速化対策」の中でも、河川の流域ごとに利水ダムやため池の活用、堤防強化、遊水池の整備など、「流域治水」対策の推進が掲げられています。本町はそれに先駆け、事業を完了したこととなります。

このように、本町では、災害に強い町を目指し、総合的な治水対策として、雨水貯留施設の整備、ため池への一時貯留用ポンプ施設等の整備、未整備の河川護岸整備を着実に進めており、引き続き、皆様が安全・安心に生活をしていただける環境の整備に努めてまいります。

また、耐震化対策の充実としまして、これまでは耐震改修工事補助の制度を設けておりましたが、活用がなく、耐震化率が向上しない現状等を鑑み、巨大地震から生命を守るための耐震シェルター設置経費の一部補助を行います。

また、災害時における町からの防災情報の発信につきましては、主に防災無線により行ってまいりましたが、多くの方から放送内容が聞き取りにくいとのお声をいただいておりました。そこで、コミュニティFMを公設民営にて立ち上げ、災害発生前の町民皆様への注意喚起や避難準備情報に加え、災害発生時の避難情報やライフライン、交通情報、物資受取等のリアルタイム情報等、町内全域にきめ細やかな情報発信を行い、防災の観点を含めた有力な情報発信手段とし、新しい形で災害に強い町を目指してまいります。なお、平常時にも行政情報の発信を行い、広報ツールとして活用をしてまいります。

加えて、現在AIチャットボットで活用中の田原本町公式LINEについて、防災や子育て等、各々のニーズに応じた様々な情報をプッシュ通知で発信できるよう、バージョンアップを図り、幼小中の連絡網機能の追加、ゴミ分別アプリとの機能連携を行い、利便性を高めることで、皆様に使っていただきやすいよう、改善を図ります。

5「賑わいと活力あふれるまちづくり」への取組み

「まちの賑わいを楽しむまちづくり」の実現に向け、地域経済の活性化、交流人口拡大等、賑わいと活力あふれるまちづくりに取り組みます。

農業

自然豊かな田園都市を支える産業として、農業を持続的に発展させていくため、担い手の育成・支援及び農産物のブランド化・高付加価値化を進めるとともに、生産基盤の整備に取り組みます。

昨年、全国的に水田におけるウンカ被害が大発生し、本町においても深刻な被害を受けられた農家の方が多くいらっしゃいました。このような害虫被害等によるダメージを低減し、就農意欲を喚起するため、水稲から高収益作物への転換、耕作放棄地を活用し新たに高収益作物を栽培される方への補助を行うことで担い手である農業者を支援するとともに、病害虫の発生源や温床となりかねない耕作放棄地をこれ以上増やさないよう、取り組んでまいります。

また、県から特定農業振興ゾーンに指定されております法貴寺・八田において、引き続き県と連携を図りながら、高収益作物に取り組む農家の育成、ハウス等の施設整備、新規就農者や法人への農地斡旋等に取り組んでまいります。加えて、農業における多角化、収益の拡大、高付加価値化、更にはリスク分散を図るため、6次産業化を念頭に、特産品の開発を委託業務にて実施し、町のブランド化に繋がる産業を育むとともに、農業の振興、地域経済活性化に繋げてまいりたいと考えております。

また、田原本町観光協会の後継団体として昨年10月1日に設立されました一般社団法人田原本まちづくり観光振興機構と連携を図りながら、いちごや味間いもをはじめとした農産品のPR、情報発信を積極的に行い、農業振興と本町のブランド化、知名度UPに繋げてまいります。

商工業

商工業の振興を支えている商工会への支援、中小企業への融資等による、実情に応じた支援を行うとともに、京奈和自動車道の一部開通による立地の優位性を活かし、積極的かつ計画的な企業誘致活動に取り組みます。

コロナ禍の影響を受け、大変な思いをされておられる事業者様も多数いらっしゃると思われますことから、事業収入が減少しておられる中小事業者等の新年度の固定資産税及び都市計画税を軽減することで、経営の安定化に繋がるよう、支援をいたします。また、従前同様、商工業の振興に取り組む商工会を支援することにより、町内中小企業の経営安定化や設備投資に対する融資制度を活用した支援、商品開発、商品のPR・販売機会の創設などを行います。

また、企業誘致活動の推進につきましては、「(仮称)京奈和自動車道田原本IC」周辺地区において計画的に進めているところでありますが、引き続き立地の優位性を活かし、企業立地促進奨励金も活用しながら、地域活性化や雇用創出に向け取り組むとともに、土地のポテンシャルを活かし、積極的に企業誘致に向けた取組みを推進することで、活力あるまちづくりを進めてまいります。

観光

観光振興に取り組む一般社団法人田原本まちづくり観光振興機構への補助を行うとともに、ウィズコロナ社会における、効果的な情報発信やイベントの実施等により、観光振興を図ってまいります。

また、昨年9月より観光連携を図っていくこととなりました奈良市・吉野町・明日香村との4市町村連携を更に深める他、県や近隣市町村とも連携を図り、広域的な観光振興に取り組んでまいります。

これまでの観光は、人が集まり、賑わうことが基本であったように思いますが、緊急事態宣言発令による外出自粛、度重なるイベント中止等、観光分野へのコロナ禍の影響は、非常に大きいものがありました。今後、ウィズコロナ社会における新しい観光を考える中で、地元の人に奈良の良さを知ってもらい、その良さを広く発信することが観光に繋がるという考えの下、新しい観光資源を発掘、地域の魅力を再発見し、観光の満足度を高めていくことが必要であると考えております。それを踏まえ、地域全体の新しい可能性を見つけ、周遊型の近場観光を盛り上げていくため、他市町村との連携を図りながら、観光振興を行ってまいります。

加えて、本年度末に策定を予定しております観光基本計画に基づき、地域のブランディング化と地域力の向上を図るとともに、観光事業の拡充を行い、持続可能で実効性のある効果的な観光施策を推進してまいります。

6「住民とともに実現するまちづくり」への取組み

財政状況の厳しさが増す中、住民主体のまちづくりを積極的に支援し、参画と協働のまちづくりを推進するとともに、効率的で効果的な行財政運営に努めてまいります。

住民参加

人口減少、少子高齢化の進行により、住民主体の地域運営が危ぶまれる現状にある中、引き続きコミュニティ組織の育成を行い、住民皆様の、地域での主体的な活動を支援し、地域交流・協働を推進してまいります。

また、広報紙・ウェブサイト・SNSに加え、この度、新たに公設民営にて設立を予定しておりますコミュニティFMラジオや、田原本町公式LINEも活用した、きめ細やかな行政情報と地域情報の発信を行いますとともに、積極的な行政情報の公開、広報・広聴活動により、住民のニーズ把握に努め、協働のまちづくりを進めてまいります。

また、町の最上位計画である第4次総合計画につきまして、令和4年度から令和8年度までの計画期間となる、後期基本計画の策定を行うとともに、田原本町まち・ひと・しごと創生総合戦略が計画期間終了となることから、第2期総合戦略についても併せて策定を行ってまいります。

行財政運営

多様化・高度化する住民ニーズや新たな行政課題に迅速・柔軟かつ的確に対応するため、適正な人員配置と職員の資質向上により、組織体制の充実を図るとともに、限られた財源の下、適正な財政運営を行います。

また、公共施設の更新・施設配置の最適化・長寿命化を行うことで、将来の財政負担を軽減・平準化してまいります。なお、公共施設等総合管理計画につきましては、個別施設計画に基づき総合管理計画の改訂を行い、学校再配置計画につきましては、学校施設長寿命化計画の見直しを行うとともに、小中学校施設再配置基本計画を策定してまいります。

また、ウィズコロナ時代にあって、ICTの利活用は必須となりつつありますことから、本町でもデジタル化に向けた取組みを一層推進すべく、昨年11月より、総務省における自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進にかかる検討会に全国の町村代表の構成員として参加し、加えて、国のデジタル専門人材派遣制度を活用して、民間企業の専門家を情報政策推進コーディネーターとして迎え、指導・助言・調査・分析を担っていただいております。新年度も、引き続き同制度を活用したサポートを受け、民間企業の持つ資源や特色・ノウハウを活用させていただき、本町の更なるデジタル化を推進してまいります。

具体的には、新年度を「田原本町の行政デジタル化元年」と位置付け、町公式LINEの連携事業、統合型校務支援システム導入事業、学習者用デジタル教科書普及促進事業等に取り組み、ICTの利活用による行政のデジタル化を進めることで、住民皆様の利便性向上に加え、業務の効率化、持続可能な行財政運営を図ってまいります。

歳入につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業業績の悪化や地域経済の低迷を受け、税収の落ち込みが予測されますことから、引き続き、(仮称)京奈和自動車道田原本IC周辺地区において企業誘致を推進し、大和平野中央プロジェクトや高収益作物の産地化を推進するなど、土地利用の在り方を検討し、税収構造の転換に努めるとともに、転入促進、ふるさと応援寄附、クラウドファンディング、企業版ふるさと納税による歳入確保にも引き続き取り組みます。なお、企業版ふるさと納税は、今般の制度改正により、寄附元企業への税控除が大幅に拡大され、軽減効果が最大9割となったことから、魅力的なプロジェクトを掲げて寄附募集を行うことで、多くの自治体の中から、当町を寄附先に選んでいただけるよう、プロモーションを行い、歳入確保に努めてまいります。

歳出につきましては、財政規律をしっかりと堅持しながら、将来を見据え重点化・効率化を図るとともに、持続可能な行政サービスの提供に向け、事業施策の点検、見直しや予算・事業の執行管理の徹底など、マネジメントサイクルを活用し、限られた財源の中で行財政運営の適正化・効率化に引き続き努めていまいります。

人事施策につきましては、県への実務研修員の派遣、県や国からの出向による人材の受入れ、国の外部人材派遣制度を活用した民間企業の専門家(デジタル・観光部門)の受入れ、就職氷河期の職員採用枠の創設等、民間を含む多様な人材の受入れを行うことで人事の活性化を図っており、職員研修の拡充・充実、計画的な人材育成、職員の資質向上、意欲・能力を引き出す環境の整備につきましても、引き続き注力してまいります。

また、コンプライアンスマニュアルに基づく法令遵守と倫理保持の徹底により、公正かつ適正な職務の執行を確保し、町民皆様の信頼と負託に応えるべく、規律ある町政運営を行ってまいります。

更に、適正な人事評価実施により、職員が意欲、能力を十分に発揮し活躍できるよう、能力・実績に基づく人事管理に取り組むともに、共通の課題を持つ自治体と連携を行い、課題解決に向け、引き続き共に調査・研究を行ってまいります。

予算

次に、令和3年度の予算案について申し上げます。

まず、歳入のうち税収入は、町民税、固定資産税等は減少し、町たばこ税が増加しますが、町税全体ではコロナ禍の影響もあり、減収となっています。また、地方交付税等が増収、地方消費税交付金、地方譲与税等が減収となる見込みです。

一方、歳出は、社会福祉等の社会保障関係費や子育て関連経費も引き続き増加し、さらに、田原本駅周辺市街地整備推進事業及び保育所等整備事業に係る補助金などの補助費等も増加します。

コロナ禍にあって、新型コロナウイルス感染症への危機管理対応を最優先しなければならない状況下にあるという大前提の下、予算編成に当たりましては、「田原本町第4次総合計画」や「田原本町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に位置付けられている施策について着実かつ積極的に推進するとともに、職員一人ひとりが厳しい財政状況を十分認識し、コスト意識を持って、住民福祉の向上に資する「持続可能な住民本位」の行政運営に取り組み、財源の確保、歳出の抑制に努め、全ての施策について必要性、有効性、将来的な負担等を検討し、予算の重点化、効率化を図りました。財源につきましても、財政調整基金からの繰り入れを回避し、行政需要に適切に対応しながら適正規模の財政構造を目指しました。

このように非常に厳しい予算編成を行いましたが、「子どもができたら田原本」「暮らしを楽しむ田原本」「年をとっても田原本」の「新しい田原本の3つの未来」の実現のために、引き続き、子育て支援、健康寿命を延ばす施策、内水対策、農業振興、企業誘致等の充実を図るとともに、生涯学習・文化・スポーツなど町民の生活に豊かさや潤いをもたらす様々な施策を盛り込みました。

その結果、前年度予算との比較では、一般会計は、3億4,300万円の減、率にして2.6%減となり、厳しい財政運営を反映した予算となりました。前年に引き続き、財源確保につきましては、国・県補助金の他、クラウドファンディング、企業版ふるさと納税も活用してまいります。

なお、一般会計、特別会計、企業会計の当初予算は、

一般会計 129億4,000万円   対前年度予算比 2.6%減
特別会計 70億7,422万8千円 対前年度予算比 1.8%増
企業会計 35億2,492万8千円 対前年度予算比 11.3%増
総 額 235億3,915万6千円 対前年度予算比 0.6%増 

となりました。

以上、町政運営の基本方針と新年度の主要な施策について申し上げました。

議員の皆様、町民の皆様、事業者の皆様の、町政に対するより一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。