令和5年第1回田原本町議会定例会施政方針

町政運営の基本方針

~『子どもから高齢者まで 誰もがいきいきとした 暮らしを楽しむまち
たわらもと』を目指して ~

平成28年2月に田原本町長に就任させていただいて以来、これまで山積する様々な課題に果敢に取り組んでまいりました。この7年間で各分野において蒔いてきた種が芽吹き始め、その成果を実感できておりますことは、本町の責任者という重責を深く認識し、ひたすら任務を全うすべく全力で取り組んできた結果だと受け止めております。

しかし、これらの成果は決して私一人の力でなし得るものではなく、車の両輪として町政運営に当たっていただきました議会をはじめ、多くの町民の皆様のご支援があってのことと、改めて感謝申し上げる次第でございます。

本年は2期目の最終年度に当たることを踏まえ、令和5年第1回定例会に際し、令和5年度一般会計予算をはじめとする各議案のご審議をお願いするに当たりまして、町政運営に臨む基本的な考え方と主要施策について申し述べさせていただくとともに、町民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

本町では、まちの総合的な行政運営の指針として平成29年に総合的かつ計画的な行政運営の指針となる第4次総合計画を策定し、「子どもから高齢者まで 誰もがいきいきとした暮らしを楽しむまち たわらもと」をまちの将来像に掲げ、まちづくりを進めてまいりました。

計画策定当初に比べて、人口動態や少子高齢化に伴う税収構造の変化、社会保障費増加等による行財政運営への影響の懸念等、取り巻く環境が大きく変化していることに加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という未曽有の事態により、生活様式や社会経済における様々な変化、社会活動維持のためのデジタル化加速など、私たちの日常に大きな変革がもたらされました。更には、ロシアによるウクライナ侵攻という国際秩序の根幹を揺るがす暴挙が未だ継続しており、その影響でエネルギー価格高騰や物価高騰が私たちの暮らしに大打撃を与えているとともに、世界経済にも多大なる影響を及ぼし、加えて記録的な円安がそれに拍車をかけ、日本経済と私たちの暮らしに大きく影を落としています。

このような状況下ではありますが、町民の皆様に「田原本に住んでいて良かった」と思っていただけるよう、また、町外の方に「田原本に住みたい」と思っていただけるよう、活力と魅力あふれるまちの未来を描きつつ、奈良県が掲げている大和平野中央田園都市構想の実現に向けて、総合計画に掲げる『子どもから高齢者まで 誰もがいきいきとした暮らしを楽しむまち たわらもと』を実現すべく、これまで取り組んでまいりました施策の総仕上げの想いも込めまして、本年も全力を尽くして、果敢にまちづくりを推進してまいります。

まちづくりの施策について

令和5年度のまちづくりの施策について、ご説明申し上げます

1「子育ての願いをかなえるまちづくり」への取組み

若い世代が安心して結婚・妊娠・出産・子育てができる環境の充実を図り、次代を担う子どもたちへの質の高い教育の提供と心身育成を促すための施策について、申し上げます。

子育て

本年4月にこども家庭庁が発足、国においても子ども・子育て施策を未来への投資と位置づけ、注力していく方向性が示されたことを受け、本町でも更に重点的に取り組むべく、令和7年度から5年の計画期間の「第3期田原本町子ども・子育て支援事業計画」を策定します。そして、多様な保育ニーズに対応するため、保育所の整備や一時預かりの充実等、きめ細やかで質の高い保育・教育サービスの提供体制を確保するとともに、子育てに関する情報提供や相談の場の充実を図ります。

また、結婚の希望をかなえ、子育て環境の充実を図る取組みを進め、安心して子どもを産み育てることができるよう、悩みに応じた相談支援の充実を図り、地域ぐるみでの子育てを応援してまいります。

少子化対策の一環として、子育て支援の観点から医療費負担軽減を図るため、子ども医療費助成の対象年齢を高校生世代まで拡充します。

また、子育て支援拠点事業の拡充により、相互交流を図り不安や悩みを相談できる場を提供することに加え、地域の多様な世代と連携を図り、地域の実情に応じ親子の育ちを支援してまいります。

また、昨今増えつつある虐待の未然予防に向け、親子の関係性や発達に応じた子どもとの関わり方を学び、保護者同士が相互に相談・情報交換できる場を提供し、子育て力の強化を図ってまいります。

地域における住民相互の援助活動「ファミリーサポート事業」については、安心して利用いただけるよう、更なる利用促進を図ります。

また、妊娠届・出生届を提出し面談を受けた方を対象に、出産・子育て応援交付金を活用して各5万円計10万円を交付する「出産・子育て応援ギフト」と、妊産婦との面談等を3回実施する「伴走型相談支援」を一体的に実施し、安心して出産・子育てができる環境を整備します。

共働きの増加や核家族化の進行で、保育ニーズは依然高いことから、田原本駅南地区市街地再開発事業における再開発ビル2階を子育て支援施設として一体的に整備し、小規模保育所等や一時預かり事業を行う保育施設部分は運営事業者を公募し、更なるニーズに応える保育の受け皿として、また子育て支援拠点と地域活動支援センター事業を行う「こどもはぐくみ・交流センター」については、ひろばと障がい者が地域活動を行う場として指定管理者を公募し、ともに令和6年4月開所に向けて準備を進めてまいります。

学校教育

今後さらに進む少子化を見据え、学校施設の規模適正化に努めるべく、「田原本町小学校3校統合施設基本構想」策定に向け、外部有識者会議等で議論を重ねてきましたが、次代を担う田原本の子どもたちが集団生活の中で切磋琢磨しながら社会性や知識を身につけ、健やかに育ち、学べる環境を維持できるよう、引き続き取り組みます。また、統合に向けた検討の中で、東小学校をモデル校として民間スイミングスクール活用事業を実施します。

また、子どもたちが自ら課題を見つけ、情報収集し、他者と議論しながら独自の考えを導き出す「探究学習」プログラムを、まずは北中学校1年生を対象に企業版ふるさと納税を財源として導入し、今後の変化の激しい社会を生きる力を身に付けられるよう、思考力や判断力、表現力の育成と、主体的・対話的で深い学びの実践に繋げてまいります。

校舎老朽化に伴う施設整備につきましては、改修工事や危険箇所修繕を順次実施しており、令和5年度は南小学校1・9号棟外壁剥落防止ネット設置、小学校トイレの照明及び北中学校屋内運動場照明のLED化を行い、児童・生徒が安全な環境下で、安心して学校生活を送れるよう、環境の整備を行います

2「健康で安心な暮らしを支えるまちづくり」への取組み

高齢化が進む中、誰もが住み慣れた地域で安心な暮らしを楽しむことができるよう、自助・共助・互助・公助により、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築し、高齢者福祉の充実、保健・医療の充実と連携強化、介護予防の推進に取り組みます。また、障がいのある人には切れ目のない支援により、社会保障の健全な運営と充実を図ってまいります。

地域福祉

災害時における地域力の重要性が再認識される中、地域で共に支え

合い、助け合える地域福祉ネットワークづくりに努めるとともに、福祉意識の高揚と地域で互いに支え合う意識の醸成のため、社会福祉協議会とともに、各種団体やボランティア等の主体的な活動を支援し、“共に生き、支え合う社会”の実現を目指します。

また、第2期地域福祉計画に基づき、住民主体による地域福祉の推進を図り、地域福祉ネットワークづくりを進めます。

高齢者福祉

令和5年1月末現在、本町の高齢化率は31.73%で、今後更なる高齢化の進行が想定されますが、誰もが元気でいきいきと住み慣れた環境で生活し続けられるよう、高齢者の健康意識向上を図ります。また、最新の科学技術や科学的根拠に基づく「健幸」なまちづくりを目指す「スマートウェルネスシティ」構想の下、「飛び地型自治体連携」により大阪府高石市、福岡県飯塚市、鳥取県湯梨浜町とともに取り組んでいる「ヘルスケアプロジェクト」については、現在県と磯城郡3町とで進めている大和平野中央田園都市構想における「ウェルネスタウン(健康増進)」をテーマとしたまちづくりの核となるプロジェクトとして、より一層推進し、事業効果のデータ化・可視化により、エビデンスに基づく健康長寿を目指す取組みを推進するとともに、健康増進や生活習慣病等の予防、改善により、引き続き「全世代活躍のまち」の実現を図ります。

また、介護が必要となっても、可能な限り住み慣れた環境で安心して暮らせる地域づくりに取り組むとともに、在宅医療・介護連携体制整備、介護サービスの質的な向上と介護認定や給付内容の適正化を図り、介護保険制度の円滑な運用に努めます。

保健・医療

がん検診の受診環境の充実や、住民の主体的な健康づくりの支援を行うとともに、引き続き医療機関や関係機関との連携強化を図ります。

新型コロナウイルス感染症については、5月に感染症法上の位置付けが2類から5類に引き下げられる方針が出されていますが、町民の皆様の安心な暮らしを確保するため、引き続き国や県とも連携を図りながら、的確な対応を進めてまいります。

また、健康づくりや食育推進の取組みを引き続き実施し、知識の普及・啓発等を行う活動を支援するとともに、成人保健・がん検診事業の受診勧奨を行い、受診率向上とがんの早期発見・早期治療に繋げます。

障がい者福祉

第7期障害福祉計画、及び第3期障害児福祉計画を策定し、障害福祉施策の実施状況等を踏まえて令和6年度~8年度におけるサービス必要量や提供体制確保を行います。

また、障がい者福祉の推進体制の充実、社会参加のために必要な支援や環境づくりに取り組み、ノーマライゼーションの意義や障がいのある人に対する正しい理解が得られるよう啓発と支援の充実を図り、誰もが住みやすい共生社会の実現を目指し、障がい者福祉施策を推進します。

社会保障

国民健康保険制度は、平成30年4月より県域での運営となっていますが、引き続き被保険者の健康の保持・増進のための予防施策や保健事業の充実に努め、後期高齢者医療についても、同様に充実を図ります。

また、長期化するコロナ禍で様々な困難に直面された方々が速やかに生活・暮らしの支援を受けられるよう、セーフティネットである生活保護について引き続き実施機関と連携を図り、相談支援を行い、適正保護と自立生活に繋げます。

3「潤いや喜びを与える学びとスポーツのまちづくり」への取組み

「学びやスポーツを楽しむことができるまち」の実現に向け、住民一人ひとりの個性が尊重され、それぞれが生きがいを持って暮らせるよう、生涯学習環境の整備と体制の充実を図り、積極的に参加していただけるよう、取り組んでまいります。

生涯学習

文化鑑賞等、質の高いイベントを提供し、心の豊かさや生きがいに繋がる生涯学習環境の充実を図るとともに、青垣生涯学習センターの利用促進に努めます。

また、図書館事業の充実を図り、読書機会の拡大と住民の読書活動の支援に取り組むとともに、森林環境譲与税を活用して、利用者の椅子やソファーを一部新調し、より良い環境で図書に親しんでいただけるよう、環境の整備を行います。

令和4年度同様、放課後子ども教室を開講し、学習支援事業についても1.民間業務委託による教室、2.退職教職員による教室、3.地域の方による教室の3つを開講し、学校・家庭・地域が一体となり地域ぐるみで子どもたちに学習の機会や様々な体験・交流活動の機会を確保し、青少年の健全な育成を推進し、子どもの基礎学力の向上を図ります。

スポーツ・レクリエーション

中央体育館ややすらぎ体育館等の施設は老朽化が進んでいるため、他の公共施設とともに住民協議会における議論も踏まえながら、それらの在り方の検討を進め、安心して施設を利用いただけるよう、適正な維持管理に繋げます。

また、町が推進している健康増進を目的とした「ヘルスケアプロジェクト」と連携したイベント等の実施により、子どもから高齢者まで誰もがスポーツに親しみ、自然と運動習慣を身に付けられるよう、スポーツへの参加意欲の高揚を図るとともに、各スポーツ団体を支援し、自主的なスポーツ・レクリエーション活動の継続をサポートしてまいります。

なお、現在、県とともに進めている大和平野中央田園都市構想において、構想の核となるのがスタジアムを中心としたウェルネスタウンであることから、住民の皆様が日常的に利用でき、学びやスポーツを楽しむことができるまちの実現に向け、同構想の中で検討を重ねてまいります。

歴史文化

本町に残る貴重な文化財を後世に引き継いでいくため、適切な保存、管理を進めるとともに、多くの人に文化財の魅力に触れてもらえるよう、活用にも取り組みます。唐古・鍵遺跡史跡公園については、令和5年度から第2期指定管理者により、道の駅レスティ 唐古・鍵との一体運営を行いますことから、連携を密にし、コミュニティの場として賑わい創出に向けた活用と、来園者が過ごしやすい場の提供を行っていまいります。

また、唐古・鍵考古学ミュージアムの運営事業の一つとして、WEB上で閲覧することができるバーチャルミュージアムを、本年3月下旬、公開します。県内初となる新たな取組みで、国の重要文化財指定品である唐古・鍵遺跡の出土品や、昨年全国的に話題となった宮古平塚古墳の復元、出土埴輪などを、3DモデルとしてWEB上で公開することで、唐古・鍵考古学ミュージアムへのアクセシビリティ向上が期待でき、多様な立場の方に本町の文化遺産の魅力に触れていただき、将来的に実際に足を運んでいただくきっかけに繋げていきたいと考えています。

また、学校における副読本の活用や小学校への出前授業の実施により、ふるさと田原本への郷土愛を育み、地域への愛着の醸成を図ります。

人権

人権尊重の視点に立った行政運営を進め、人権意識の高揚を図るとともに、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合い、少数者・多様性を認め合える共生社会の実現に取り組みます。また、性別に関係なく意欲に応じて様々な分野で活躍できる社会の実現、ワークライフバランスのとれた生活を送れる環境づくりのため、近隣市町村や民間企業とも連携し、研修の実施や啓発、男女共同参画社会の推進を図ります。

4「安全で快適な暮らしを支えるまちづくり」への取組み

豊かな自然や奥深い歴史文化を感じつつ、快適な住環境で日々の暮らしを楽しむことができるまち、また、災害に強く犯罪や交通事故のない安心安全なまちの実現に取り組みます。

土地利用

市街化調整区域における新たな土地利用を検討するとともに、立地適正化計画に基づき、人口減少社会に対応した持続可能なまちづくりの推進、田原本駅周辺の中心市街地を核としたコンパクトなまちづくりの実現に向け、居住誘導区域への誘導、指定地区での居住率向上を図り、計画的な土地利用の推進を図ります。

県とともに進めている、大和平野中央田園都市構想におけるウェルネスタウン(健康増進)の実現に向けた取組みの推進については、引き続き関係機関と連携を図り、地域の誰もが健康に暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。

また、田原本駅南地区市街地再開発事業では、いよいよ再開発ビルが完成、供用開始いたします。10階建てビルの2階部分の公共床には、コミュニティFMのほか、子育て支援施設「こどもはぐくみ・交流センター」を整備し、生活利便性やブランド価値の向上を図りますとともに、新たなランドマークとして賑わい創出と駅周辺活性化の促進、人口増等、本町の明るい未来に繋げられるよう、引き続き魅力的な田原本駅周辺のまちづくりに取り組んでまいります。

なお、田原本駅前広場については、新たに指定管理者制度を導入し、令和9年度末までの5年間、一般社団法人田原本まちづくり観光振興機構を指定管理者として、効果的・効率的な管理運営を行ってまいります。

道路・交通

京奈和自動車道を活かした広域道路のネットワーク化を目指し、幹線道路を整備するとともに、安心で安全な道路環境を確保するため、生活道路を整備します。なお、道路整備の際は、通学路安全対策等、重要性と優先順位を考慮し、計画的な整備と維持管理を行います。また、橋梁につきましては、引き続き長寿命化に向けた取組みを行い、ECI方式による効率的で効果的かつ的確な予防保全を行ってまいります。

交通環境整備につきましては、移動制約者の方を対象としたタワラモトンタクシー利用料金助成を継続実施しつつ、現在利用制限のある日曜日や祝日等について、妊産婦のみならず他の登録者も利用できるよう、サービス拡充を行い、更なる利便性向上を図ります。

また、令和4年6月策定の田原本町地域公共交通計画に基づき、持続可能な公共交通体系の実現に向けて協議会等で様々な検討を重ねた結果、タワラモトンタクシー利用料金助成に加え、定時定路線型交通及びデマンド型乗合交通を導入すべく、ルートと停留所について検討を行い、令和5年10月の実証運行開始を目指します。これにより、移動制約者に限らず誰もが利用できる交通手段が増え、公共交通空白地域の解消にも繋がることから、町民の皆様の利便性向上が図られると考えています。

加えて、現在、田原本デジタル交通サービス導入推進協議会で検討中の田原本駅から青垣生涯学習センター、及び青垣生涯学習センターから史跡公園・道の駅レスティ 唐古・鍵における自動運転試験運行による実証実験についても、引き続き関係機関と連携を図りながら、進めていきます。

住環境

人口減少、少子高齢化に対応するには、若い世代が定住しやすい住環境の整備が必要であることから、子育て世帯及び新婚世帯を対象に賃貸及び住宅ローン費用の一部補助を行い、定住人口増へ繋げてまいります。

また、防犯、防災や景観面等の観点から、引き続き空き家等の利活用と適正管理を図り、住宅環境の充実と魅力ある景観形成、緑豊かな田園景観保全に努めます。

また、都市公園の維持管理につきましては、安らぎと憩いの場として安心・安全に利用いただけるよう、公園長寿命化計画に基づき、適正に管理を行うとともに、ライフサイクルコストの縮減を進めてまいります。

なお、旧清掃工場跡地の整備については、既存地下構造物の撤去について調整に時間を要していましたが、令和5年1月に清掃工場公害モニター会議での合意が得られたことから、防災機能を備えたスポーツ等を多目的に楽しめる公園としての整備を行うべく、令和8年度の供用開始に向け、実施設計を行います。

生活環境

快適で豊かな暮らしが持続可能なものとなるよう、脱炭素・循環型社会に向けた取組みの推進を図るとともに、安心・安全に暮らせる生活環境の保全に取り組みます。

令和3年7月の「田原本町ゼロカーボンシティ宣言」で謳(うた)っております2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを実現すべく、脱炭素社会の構築に向けた検討や取組みを進めているところであり、令和3年3月策定の田原本町地球温暖化対策実行計画「事務事業編」に続き、「区域施策編」を策定し、町民の皆様の意識醸成を図りつつ、温室効果ガス削減に向けた取組みを、より一層進めてまいります。

また、令和3年5月に吉野郡町村会や橿原市、大和高田市、磯城郡3町等で設立された、上下流連携による木材利用等促進コンソーシアムを通じた川上村の協力の下、森林整備・カーボンオフセット事業、森林環境教育事業、木材利用促進事業からなる森林環境活用事業については、学校や図書館とも連携を図りながら継続実施し、持続可能な循環型社会の構築に、引き続き取り組んでいきます。

また、小型家電をはじめとしたリサイクルを引き続き実施し、廃棄物の適正な処理及び資源の有効利用、再資源化を促進してまいります。

下水道事業につきましては、令和6年度の事業計画見直しに向け、費用対効果等を考慮の上、汚水処理構想を見直し、未整備箇所の再検討により、今後の整備計画に繋げてまいりますとともに、現在県とともに進めている大和平野中央田園都市構想のプロジェクト計画箇所が、下水道事業計画区域外であることから、計画区域への取り込みを行うべく、計画汚水量から流量計算等の検討を行います。

なお、水道事業につきましては、令和4年4月より磯城郡水道企業団として事業運営を開始していますが、更なる経営の安定化に向け、県と26市町村と1組合の県域一体化に向けた取組みを引き続き着実に推進し、令和7年4月の事業開始予定に向け、準備を進めてまいります。

防災・防犯・交通安全

田原本町地域防災計画を軸に、防災対策の充実、体制の強化を図ります。予測できない災害に対応するためには、「自助」・「共助」の取組みが非常に重要であることから、防災フェスタの開催により、災害に対する認識を深めていただき、地域や家庭で行える防災対策や防災意識の向上を図り、地域における防災意識の醸成と防災活動の推進を図ります。

奈良モデルを活用し、県とともに取り組んでいる「奈良県平成緊急内水対策事業」につきましては、気候変動により激甚化、頻発化する水害に備え、今後も関係機関と連携を図りながら、流域全体で治水の取組みを計画的に推進し、皆様が安全・安心に生活をしていただける環境の整備に努めてまいります。

また、公設民営のコミュニティFMラジオが、いよいよ駅再開発ビル2階での開局を迎えます。町内全域に、きめ細やかな情報を発信できるよう、引き続き準備を進めてまいります。

また、ICTを活用した児童見守り事業について、町内の新1年生とその他の希望児童を対象に継続実施し、児童の安全確保・犯罪被害防止に繋げるとともに、田原本町通学路安全プログラムに基づく計画的かつ継続的な安全対策の実施により、子どもたちが安心して学校に通えるよう、交通安全対策の推進を図ります。

加えて、消防事業においては、全国的に消防団員の数が年々減少して地域防災力の低下が懸念される状況にあることから、出動にかかる対価として、従来の費用弁償から出動報酬に支給形態を変更し、処遇を改善することで団員の確保に繋げてまいります。また、順次入れ替えをしております消防ポンプ車について、令和5年度も1台購入することに加え、消防施設について、第3分団器具庫の警鐘台が老朽化し、消防団の活動に支障を来す恐れがあることから、警鐘台の撤去及び消防用ホース乾燥塔の設置工事を行い、有事の際に備えた安心安全の確保を図ります。

5「賑わいと活力あふれるまちづくり」への取組み

「まちの賑わいを楽しむまちづくり」の実現に向け、地域経済の活性化、交流人口拡大等、賑わいと活力あふれるまちづくりに取り組みます。

農業

担い手の育成支援を行い耕作放棄地の増加を抑制するべく、遊休農地解消対策奨励金を設け、遊休農地に所有権または利用権を新たに設定し、作物の作付けを行う者に奨励金を支給することで、課題となっている耕作放棄地の解消に繋げてまいります。

県から特定農業振興ゾーンに指定されている法貴寺地区・八田地区においては、重点的に農業振興を図るとともに、高収益作物への転換促進を図り、農業基盤の整備もあわせて行います。

商工業

商工会と連携し、商工業活動の推進を図るとともに、(仮称)田原本インターチェンジ周辺地域や十六面・西竹田地区における企業誘致活動の推進を図ります。

また、日本初開催となるUNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラムが、令和4年12月に奈良県で行われ、基調講演及びディナーでの食の振る舞いと海外参加者向けの現地見学(エクスカーション)に本町も参加しました。町内の有志の方々が中心となり出展された食の振る舞いは大変好評を得ることができたことに加え、30か国から500名、またオンラインで800名が参加する中、国土交通省観光庁長官の基調講演で、本町のマルト醤油が事例として紹介され、国内外に向けた発信により、本町が注目を浴びる良い機会となりました。このような機会を捉え、引き続き町の魅力発信を行ってまいりますとともに、町の魅力向上に繋がる特産品の開発を支援し、地域に誇れる商品の創出に繋げてまいります。

観光

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが2類から5類に変更される方向性が示されたことを受け、これを観光分野において明るい兆しに繋げていけるよう、一般社団法人田原本まちづくり観光振興機構や近隣自治体と連携し、情報発信やイベント実施等により観光振興を図り、交流人口や関係人口拡大に繋げていくとともに、賑わいと活力あふれるまちへの取組みを進めてまいります。

なお、前述のガストロノミーツーリズム世界フォーラムへの出展を機に、町の「食」を考え、発展させることで地域活性化に取り組む団体「たわらもとフード・ラボ」が、住民主導により令和5年3月、設立予定であり、将来的にはふるさと納税の商品づくりを検討いただくなど、住民主導による持続可能な観光振興、まちづくりの流れを推進していきます。

6「住民とともに実現するまちづくり」への取組み

財政状況の厳しさが増す中、住民主体のまちづくりを積極的に支援し、参画と協働のまちづくりを推進するとともに、効率的で効果的な行財政運営に努めてまいります。

住民参加

人口減少、少子高齢化の進行により、住民主体の地域運営が危ぶまれる現状にある中、引き続きコミュニティ組織の育成を行い、住民の皆様の主体的な活動や地域課題に対応する取組みを支援し、地域交流・協働を推進します。

また、広報紙・ウェブサイト・SNS、町公式LINEに加えて、公設民営のコミュニティFMを活用して、きめ細やかな行政情報と地域情報の発信を行うとともに、積極的な行政情報の公開、広報・広聴活動により、町の活性化や住みやすさの向上を図ります。

行財政運営

適正な人員配置と職員の資質向上により、効率的かつ効果的な組織体制の構築を図り、限られた財源の下、適正な財政運営を行います。

また、公共施設等総合管理計画の推進については、公共施設の廃止・統廃合を含めた再編に向け、現状を把握・整理した上で、幅広い年代の町民の皆様に住民協議会の場で議論をいただき、課題解決を目指します。

また、引き続き広域・官民連携の推進、協働のまちづくりの多様化を図り、持続可能なまちづくりを進めてまいります。

加えて、コロナ禍で加速したデジタル化の流れを受け、ICT活用によるデジタル化をより一層推進するとともに、県とともに進めております大和平野中央田園都市構想の中で、デジタルの活用についても併せて検討を重ね、ウェルビーイングなまちづくりを進めてまいります。

また、令和4年8月策定の「DX推進計画」に基づき、RPAやICT技術の活用、ペーパーレス化、窓口申請オンライン化の促進等、さらなるデジタル化の推進を図り、国とともにオンライン申請に繋げるためのマイナンバーカードの普及促進、様々な脅威から住民情報を守る情報セキュリティ対策についても、取り組んでまいります。

なお、デジタル化推進の一方、課題となる高齢者等のデジタルデバイド(情報格差)については、これまでも実施しているスマホ教室の開催等、引き続きデジタルデバイド解消に取り組みます。

 

歳入については、引き続き土地利用の在り方の検討、税収構造の転換に努めるとともに、転入促進、ふるさと応援寄附、クラウドファンディング、企業版ふるさと納税による歳入確保にも意欲的に取り組みます。

歳出については、財政規律をしっかりと堅持しながら、将来を見据え重点化・効率化を図るとともに、持続可能な行政サービスの提供に向け、事業施策の点検、見直しや予算・事業の執行管理の徹底等、マネジメントサイクルを活用し、限られた財源の中で行財政運営の適正化・効率化に引き続き努めます。

人事施策については、県への実務研修員の派遣、県や国からの出向による人材の受入れ、国の外部人材派遣制度を活用した民間企業の専門家の受入れ等、民間を含む多様な人材の受入れにより、人事の活性化を図っていますが、職員研修の充実、計画的な人材育成、職員の資質向上、意欲・能力を引き出す環境の整備についても、引き続き注力します。

また、コンプライアンスマニュアルに基づく法令遵守と倫理保持の徹底により、公正かつ適正な職務の執行を確保し、町民の皆様の信頼と負託に応えるべく、規律ある町政運営を行ってまいります。

予算

次に、令和5年度の予算案について申し上げます。

まず、歳入のうち町税収入は増収を見込んでいますが、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税については前年並みとなる見込みです。

歳出につきましては、扶助費等の社会保障関係経費が引き続き増嵩(ぞうすう)し、さらに、公共施設の老朽化対策に係る経費も増加します。

これらの状況を鑑み、予算編成に当たりましては、職員一人ひとりが厳しい財政状況を十分認識し、コスト意識を持って、住民福祉の向上に資する「持続可能な住民本位」の行政運営に取り組み、財源の確保、歳出の抑制に努め、全ての施策について必要性、有効性、将来的な負担等を検討し、予算の重点化、効率化を図りました。

このように非常に厳しい予算編成を行いましたが、「田原本町第4次総合計画・後期基本計画」及び「第2期田原本町まち・ひと・しごと創生総合戦略」の目標の実現に向け、子育て支援、グリーン化、デジタル化、健康寿命を延ばす施策、内水対策、農業振興、生涯学習・文化・スポーツなど皆様の生活に豊かさや潤いをもたらす様々な施策を盛り込みました。

その結果、一般会計予算は137億5,300万円で、前年度予算との比較では、4億8,200万円の増、率にして3.6%増となりました。

なお、特別会計予算は76億4,320万2千円で、対前年度予算比4.5%増、企業会計である下水道事業会計は、19億7,898万8千円で、対前年度予算比0.4%増となり、一般会計から企業会計までの各会計予算の総額は233億7,519万円で、対前年度予算比3.6%増となりました。

以上、町政運営の基本方針と新年度の主要な施策について申し上げました。

議員の皆様、町民の皆様、事業者の皆様の、町政に対するより一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

この記事に関するお問い合わせ先

担当課:秘書広報課
電話:0744-33-9037