令和2年第1回田原本町議会定例会所信表明

議長のご指名によりまして、本日ここに令和2年田原本町議会第1回定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご出席をいただき、誠にありがとうございます。

本定例会が開会されるにあたりまして、ご挨拶を申し上げます。

まず、新型コロナウイルス感染症につきましては、今月に入り、日本国内でも急速に感染の広がりが見られます。お亡くなりになられた方々に対し、心から御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様に、お悔やみを申し上げます。また、発症された方には、早期の回復を心より祈念いたします。

国内の状況等を踏まえ、本町では、迅速に対策を講じる体制を確立するため、先月20日に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を立ち上げ、相談窓口の周知とともに、町民の皆様へは、咳エチケットや手洗いなどの感染症対策に努めていただくようお願いしているところでございます。

また、国の要請を受け、本町におきましても、子どもたちの安心・安全を優先に考え、今月2日より、町立各小・中学校におきまして、春休みに入るまで、臨時休校とさせていただき、町立各幼稚園につきましても、小・中学校に準じて、同様の対応をさせていただいております。

なお、感染拡大を防止するため、現在のところ、3月末までの町主催のイベント等につきましては、参加者や関係者の健康と安全に配慮し、中止や延期の判断をさせていただき、また、町の施設内において、他団体が主催されますイベント等につきまして、自粛をお願いしているところでございます。

議員の皆様並びに町民の皆様におかれましては、ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

さて、私事ではございますが、過日の町長選挙では、ほかに立候補者がなく無投票当選ではございましたが、再度、ふるさと田原本の町政を担わせていただくことになりました。

田原本を愛し、このまちの発展とともに歩んでまいりました私にとりましては、引き続き田原本のまちづくりを進められるという喜びの一方で、令和の新しい時代の田原本をつくる貴重な時期の舵取りを任せていただいた重責に身の引き締まる思いでございます。

それでは、当選後の最初の議会でもございますので、2期目のまちづくりにかける私の思いや決意を述べさせていただき、皆様方のご理解とご協力を賜りたいと思います。

振り返りますと、日本は、人生100年時代を迎え、世界に類をみない速さで少子高齢化、人口減少が進んでおります。刻々と変化する社会情勢の中で、私たちのまちを取り巻く環境にも大きな変化とともに改革が必要とされ、私もまちづくりの奥深さや難しさを痛感し、時に立ち止まり、思い悩んだ日もございました。

しかし、どんな時も、誰もが「こんなまちに住んでみたい」と思える、ぬくもりのあるまち、そして、住んでいる人々がいきいきと輝き、「ここにずっと住み続けたい」と思える活気あふれるまちを創りたい、という強い思いは変わることなく、一歩一歩、確実に歩みを進めることができました。

この1期4年間は、田原本町におきましても、少子高齢化の進行などにより、平成17年をピークに人口減少が進み、それに伴う税収の大幅な伸びも期待できず、一方では、医療費、介護給付費などの社会保障関係費や公共施設の老朽化に伴う維持管理経費の増大などにより、行財政運営は一層厳しい局面を迎えました。

この間私は、町民の皆様に最も身近な自治体の長として、若さと行動力と既成概念にとらわれない自由な発想で、限られた財源を駆使し、また、新たな財源確保の工夫も取り入れながら、課題解決に向け独自の施策の推進・実行に取り組んでまいりました。

ひとつに、就任後私は「みんなでつくる田原本」を合言葉に、開かれた行政を推進していくため、自治会など多くの集まりの機会を捉え、タウンミーティングを開催し、町民の皆様から町政についての多くのご意見、ご提言をいただきながら、取り組みを進めることができました。

さらには、唐古・鍵遺跡史跡公園の開園、交流施設道の駅「レスティ唐古・鍵」のオープンなどの賑わいの創出をはじめ、誰もが日々の暮らしに活力を生み出し、いきいきと活躍していただくために、高齢者や妊産婦など日常の移動が困難な方を対象とした、タクシー利用時の初乗り運賃補助チケットを交付するタワラモトンタクシー事業を開始いたしました。また、幼稚園の預かり保育、小規模保育園、認定こども園の開設とともに、長年の課題でありました中学校給食の開始、幼稚園、小・中学校へのエアコン設置、内水対策への取り組みなど、全世代がいきいきと豊かで、また安心できる暮らしを支える、多様な取り組みを展開してまいりました。

今こうして振り返りますと、社会経済環境の急激な変化によって生じた様々な課題に対応して、その時々にできることを可能な限りスピーディーに実現するため、ひたすら走り続けてきた日々だったように思います。

就任一年目の平成28年9月30日に、町では節目となる田原本町合併60周年を迎えました。また、昨年は新しい令和の時代が幕を開け、この記念すべき年をお祝いするとともに、これまでの歩みを振り返り、新たな時代への飛躍と、個性と活力あふれるまちづくりの契機として行いました事業は、多くの町民の皆様のご参加をいただくことができました。元気いっぱいの子どもから高齢者まで、一人ひとりの笑顔や元気に出会うたび、このまちのために頑張ってきて良かったなあと思うと同時に、この力がきっと田原本の未来を創る大きな原動力になっていると実感しております。

昨年、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催され、ホスト国の日本は史上初のベスト8に進出し大いに盛り上がりましたが、その一方で、今後の我が国の経済・国際情勢は、米中貿易摩擦、英国のEUからの離脱などの海外経済の動向や、昨年10月の消費税率引き上げ、新型コロナウイルス感染症の拡大などによる影響が考えらえます。さらに、2020年の今年は、56年の時を経て、日本で再び東京オリンピック・パラリンピックが開催され、2025年には大阪万博が予定されております。世界に向けて日本が輝きを示し、ますます注目される中、今後においてはインバウンド需要が、拡大予測とともに日本の重要な産業になりつつあります。

また、日本経済の今後を決定づけるのが「5G」の動向であり、次世代型行政サービスを通じた効率と質の高い行財政改革を行い、社会保障関係費の増加、人口減少、高齢化の下での新たなサービス需要の増加といった課題に対処し、自分たちの未来は自分たち自身で切り開いていかなければならない時代が目の前に来ています。

日本は、国際情勢の変動や経済不況、大規模災害など幾多の試練を乗り越え、多くの国々がうらやむ平和と繁栄を享受しています。男女合わせた国民の平均寿命は、84歳と世界トップレベルに位置し、同様に、田原本町の高齢化率も30%を超えています。急速に進む少子高齢化社会、深刻化する地球環境問題、高度情報化の進展など本町を取り巻く潮流は厳しさを増し、私たちの暮らしにさらに大きな影響をもたらすものと考えます。

私は、町民の皆様にとって年齢を重ねても、夢と希望を持って暮らしていただけるまちとなるよう、何ができるかではなく、何をすべきか、という明確な意思を持って、その目指すべき未来に向けて、今こそ行動を開始しなければなりません。こうした厳しい状況を乗り切り、力強く泳ぎ切ることが、私に課された責務であろうと思います。

平成29年3月に策定いたしました田原本町第4次総合計画において、田原本町の目指すまちの将来像を「子どもから高齢者まで 誰もがいきいきとした 暮らしを楽しむまち たわらもと」といたしました。これは、田原本に暮らす誰もが、様々な場面でいきいきと活躍でき、日々の暮らしを楽しむことのできるまちを目指すもので、子どもたちがいきいきと自分らしさを育みつつ成長することができ、若い世代が安心して子育てをしながら自分らしく働くことができ、高齢の方々が健康で生きがいを持って楽しく暮らすことができるまちにすることであります。そのためには、様々な課題に挑戦し、人とまちを育むための新たな創造を展開したいと強く思っております。

また、田原本町は、日本を代表する弥生時代の遺跡が残る唐古・鍵遺跡をはじめとする数多くの歴史的な文化遺産があり、それとともに農業が栄えてきたまちであります。私は、それら田原本の特性である多くの歴史・文化を大切にするとともに、交通の利便さという住宅都市にとって欠くことのできない田原本固有の資源を活用しながら、それらをまちの発展の礎として「新しい活力の循環」を生み出すためのまちづくりに取り組み、さらに変化し発展していく田原本町を、広く発信したいと思います。

そのためにも、以前から提唱しております、「新しい田原本の3つの未来」につきまして、第1には、農業のまち田原本ブランドの構築や、田原本インターチェンジ付近への企業誘致、田原本駅周辺の再開発に取り組む「住み続けたい未来」

第2には、安心して子どもを産み、希望を持って子育てできる環境の充実や、いきいきと学び、いきいきと成長を楽しむ教育環境の確立、また地球環境にやさしいまちづくりに取り組む「子育てしやすい未来」

第3には、健康寿命の延伸や更なる防災機能の強化、交通インフラの整備、安全箇所の確保、通学路の整備に取り組む「安心して暮らせる未来」

この3つの未来の実現のため、今任期中に持てる力と知力を結集して、全力で取り組んでまいる覚悟でございます。

まちづくりの主役は町民の皆様でございます。皆様の声をきき、積極的にまちづくりに参画していただけるシステムづくりのための地域情報化の推進や、コミュニティ活動の促進とともに、総合計画の実現に向け、厳しい財政状況下においても、より計画的に事業に取り組めるよう、機構改革や人材育成をはじめとする効率的な行政システムを構築してまいります。

町民の皆様一人ひとりが心に夢を描き、いきいき語ることのできる活力のあるまち、自らの意思で考え行動できる元気な未来をひらくまち、そんなまちを創るため、私は、確固たる決意と情熱を持って新たな挑戦を始めたいと考えております。

なお、今期定例会におきまして、1件の専決事項の報告と令和2年度各会計予算案をはじめ、21議案につきまして、ご審議を賜るわけでございますが、後ほど、令和2年度における施政方針を明らかにいたしますとともに、今回提案いたしております、諸議案の内容につきましてもご説明いたしますので、議員の皆様並びに町民の皆様には、ご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、議会開会の挨拶並びに私の所信表明とさせていただきます。

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電話:0744-33-9037