令和2年第1回田原本町議会定例会施政方針

町政運営の基本方針
~『子どもができたら田原本』 『暮らしを楽しむ田原本』 『年をとっても田原本』を目指して ~

令和2年第1回定例会に際しまして、令和2年度の町政運営の基本方針と主要施策の概要について申し述べさせていただきます。

町民皆様のご信託を賜り、再度ふるさと田原本の町政を担わせていただくことになりました。田原本を愛し、このまちの発展とともに歩んでまいりました私にとりまして、引き続きまちづくりを進められるという喜びの一方で、令和の新しい時代の田原本を創る貴重な時期の舵取りを任せていただいた重責に、身の引き締まる思いでございます。この信託は、私の1期4年の取組みにご賛同いただいたのみならず、これまでの町政の延長線上にある更なる発展を期待されたものと認識しており、

皆様からのご期待をしっかり受け止めまして、気持ちを新たに、職責を全うしてまいりたいと思っております。

私は平成28年の就任当初から、「みんなでつくる田原本」を合言葉に、「子育てしやすい未来」、「住み続けたい未来」、「安心して暮らせる未来」の、3つの未来を思い描き、様々な取組みを進めてまいりました。この4年間を振り返りますと、私は様々な課題に果敢に取り組み、その間、多くの町民皆様からご支援を賜り、中学校給食のスタート、幼稚園・小学校・中学校へのエアコン設置、交通弱者の方々を対象に通常タクシー初乗り運賃を補助するタワラモトンタクシー利用料金助成、道の駅レスティ 唐古・鍵オープン、1999年から公有化を開始し、2009年から整備を続けてきた唐古・鍵遺跡史跡公園の完成、法令遵守推進条例の制定、内水対策の取組み等、これまで本町が抱えていた様々な課題の解決に努め、一通り完成させることができました。また、限られた財源を駆使し、クラウドファンディングや企業版ふるさと納税といった新たな財源確保の工夫も取り入れながら、田原本の魅力の再発見と賑わい創出に繋がる新たな取組みを実施してまいりました。全世代がいきいきと豊かで安心した暮らしができるよう、独自の施策を推進し、積極的に取り組むことができたものと自負しております。

日本は今、人生100年時代を迎え、世界に類をみない速さで少子高齢化、人口減少が進んでいます。刻々と変化する社会情勢の中で、地方自治体を取り巻く環境は大きく変化し、改革の必要性が高まっています。

本町におきましても、平成17年をピークに人口減少が進み、それに伴い税収の大きな伸びも期待できない一方で、医療費、介護給付費等の社会保障関係費や公共施設の老朽化に伴う維持管理経費の増大など、行財政運営は一層厳しい局面に直面しています。

しかしながら、昨年5月の新元号「令和」のスタートとともに、希望に満ちた新たな時代が幕開けを迎え、ラグビーワールドカップ2019ではホスト国である日本がベスト8に進出し、日本中が『ONE TEAM』を合言葉に大いに盛り上がりました。そして今夏には、いよいよ待望の東京オリンピック・パラリンピックが、56年の時を経て再び、日本で開催されます。本町におきましても、4月12日に聖火リレーが唐古・鍵遺跡史跡公園を通過する予定であることに加え、グアテマラ共和国の事後交流型ホストタウンとしてスポーツや文化等の様々な交流事業を通じ機運を醸成し、東京オリンピック・パラリンピックを盛り上げてまいりたいと思っております。また、オリンピック終了後、5年後の2025年には大阪・関西万博も予定されており、日本が世界に向け輝きを示す中にある一方で、世界に目を向けますと、イギリスのEU離脱、アメリカ合衆国の大統領選挙等、世界経済に与える影響を懸念すべき事項も多く、加えて中国を中心に各国で猛威を振るい未だ収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症は深刻度を増しており、感染拡大による経済への影響は必至であり、世界情勢は予断を許さない状況です。

このような中、これからの時代に対応し得る次世代型行政サービスを通じた人材育成をはじめとする効率と質の高い行財政改革を行う必要があり、令和2年度は、これまで取り組んでまいりました事業・施策の完成に向け着実に実施していくとともに、国の方針に従いICTを利活用し、国連が掲げるSDGsの理念も踏まえながら、まちづくりの主役である町民皆様の声を施策に反映し、子どもから高齢者まで全ての年代の皆様との連携を強化することで、「田原本町に住んでいて良かった」と言っていただけるよう、活力と魅力あふれる田原本を目指し、1.子どもができたら田原本2.暮らしを楽しむ田原本3.年をとっても田原本の「新しい田原本の3つの未来」の実現に向け、間断なく果敢に、全力で取り組んでまいります。

~経済情勢と本町の財政状況を踏まえて~

我が国経済における景気の基調判断は、「景気は緩やかに回復しており、個人消費は持ち直し、設備投資は緩やかな増加傾向にあり、企業収益は高い水準にある。」としています。

また、先行きについては、「雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待される。しかし、一方で、新型コロナウイルス感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、通商問題を巡る動向等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響にも留意する必要がある。」としています。

こうした状況の下、国においては、「経済財政運営と改革の基本方針

2019」において、「人口減少や少子高齢化の急速な進展等、我が国が直面する様々な課題を克服し、持続的かつ包括的な経済成長の実現と財政健全化の達成を両立させるべく、成長戦略実行計画をはじめとする成長力の強化、人づくり革命・働き方改革・所得向上策・地方創生の推進及びグローバル経済社会との連携を行うことにより、Society

5.0時代にふさわしい仕組みを作り、また、新経済・財政再生計画の着実な推進、次世代型行政サービスを通じた効率と質の高い行財政改革等を行うことにより、経済再生と財政健全化の好循環に取り組む。」としています。

一方、地方行財政については、2040年頃までに顕在化する諸課題に、その制度の在り方を検討し、国・地方で基調を合わせた歳出改革や効率化を積極的に推進することとし、地方自治体が、社会保障関係費の増加、人口減少・高齢化の下での新たなサービス需要の増加といった課題に対処し、より自立的かつ自由度の高い行財政運営ができるよう、地域間の税源偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築や、その持続可能性の向上に取り組むこととし、地方交付税制度をはじめとして、持続的な地方行財政制度の構築を重点的に進めるとしていることから、今後においても国の施策の動向に注視し、取り組むことが求められます。

本町においては、後年度の財政負担を可能な限り軽減するよう財政運営に努めておりますが、平成30年度決算においては経常収支比率が平成29年度より0.2ポイント下回り98.0%になったものの、実質公債費比率が0.7ポイント上回り7.9%と上昇しています。景気の回復基調も緩やかな中、今後の大幅な税収増は期待できず、また、社会保障関係費の伸びや公共施設の老朽化による維持管理・改修経費も増加することは確実であります。

以上のような社会経済情勢や本町の財政状況の下、予算の執行に当たりましては、歳入歳出両面において精査を行い、引き続きこれらのことを念頭に財政運営に取り組むとともに、多様化・高度化する町民需要に対応してまいります。

まちづくりの施策について

それでは、令和2年度のまちづくりの施策について、ご説明申し上げます。

1「子育ての願いをかなえるまちづくり」への取組み

若い世代が安心して結婚・妊娠・出産・子育てができる環境の充実を図り、確かな教育と様々な学習の取組みを通じて次代を担う子どもたちに対する質の高い教育の提供と心身育成を促すための施策について、申し上げます。

ふるさと教育

町の将来を担う子どもたちが充実した教育を受けることができるよう、環境の整備を行い、地域の歴史文化の学習を通じて地域への愛着の醸成を図ることが必要です。

小学校への学習出前事業や副読本の活用、ふるさとかるたの活用などにより、国史跡唐古・鍵遺跡をはじめとする歴史的資源や、条里制の残る田園風景などの歴史的景観の大切さについて学び、ふるさとへの愛着を育みます。また、青少年健全育成を目的とし、地域における学習環境向上のため、子ども科学教室や子どもカーニバルなどのイベントを行うとともに、子ども会連絡協議会と連携、活動支援を行い、親子で育む学習機会の拡充を図ります。

また、放課後子ども教室として陶芸、生け花、茶道などの文化教室、スポーツ教室、夏休みに実施している算数教室、大学生が実施する中学生向け学習支援教室の充実を図ると共に、学習機会の拡充を図るべく、青垣生涯学習センターや中央体育館に加え、小学校での放課後子ども教室を拡充し、加えて新たに青垣生涯学習センターで学習支援教室を実施することにより子どもの基礎学力の向上を図り、学習習慣を身に付けるための学習支援を実施いたします。

保育・幼児教育

多様化する子育てニーズに対応するため、きめ細かな子育て支援の充実と就学前教育の充実、障がいのある幼児一人ひとりの教育的ニーズに対応した特別支援教育が必要です。

共働きの増加や核家族化の進行により保育所への入所希望が増加する中、待機児童を解消し多様化する保育ニーズに対応するため、通常保育の充実と地域に密着した小規模な保育サービスの充実に取り組みます。

また、乳幼児や小学生等を子育て中の保護者等を会員とし、子ども預かりの援助を受けたい方(依頼会員)と援助をして下さる方(提供会員)との相互援助活動に関する連絡・調整を行うファミリーサポートセンター事業を実施し、多様化する子育て支援ニーズに対応し、地域における子育て支援の機運を高めてまいります。また、既に実施しております子育て支援拠点事業につきましては、2拠点3か所において、継続して実施いたします。

また、国施策である3~5歳児の幼児教育・保育の無償化に合わせ、更なる子育て支援の充実を目指し、町独自の施策として給食の副食費無償化、町内居住者の0~2歳児の保育料の保護者負担の軽減、保護者の経済的、精神的負担軽減のための延長保育料の一部助成事業、子育て支援人材の確保及び保育士等の離職防止や確保、定住支援のための子育て支援者応援事業についても実施してまいります。

また、通常保育に加え延長保育、一時保育、病後児保育、幼稚園での預かり保育を実施し、保育の充実に努めているところでございますが、町内3保育園、小規模保育園2園、幼稚園型認定こども園1園及び地域子育て支援拠点1か所において、一時保育事業の更なる充実に取り組んでまいります。なお、田原本幼稚園につきましては、認定こども園平野幼稚園に続き、本町2園目となる幼稚園型認定こども園として令和3年度の開園を予定しております。

また、仕事などにより昼間保護者が家庭に不在である小学生児童に対し実施しております放課後児童健全育成事業につきましては、保護者のニーズに基づき更なる内容の充実に取り組み、子どもの居場所づくりの一環として平成30年度より北小学校をモデル校として実施しております放課後子ども教室につきましては、学童保育を利用していない一般児童も含めたすべての児童を対象とし、継続実施いたします。

また、幼稚園園舎の耐震改修補強等施設整備については、田原本幼稚園での継続事業に加え、本年度新たに北幼稚園において行います。これにより、全幼稚園の耐震化が完了することになります。

学校教育

子どもたちが確かな学力を身につけられるよう指導の充実を図るとともに、人間性豊かな児童生徒の育成に努める必要があります。また、障がいのある児童生徒には、自立や社会参加に向けて一人ひとりの教育的ニーズに対応した特別支援教育の推進が必要です。

また、安心して学べるよう、校舎の老朽化対策等、学校施設の整備充実を行う必要があります。

  本町においては、今後少子化がより一層進展していくことが予想され、現在適正な教育環境が維持できなくなりつつあります。平成29年1月の「田原本町学校・幼稚園の規模及び配置の適正化に関する考え方について(答申)」を踏まえ、より具体的な小・中学校、幼稚園施設の再配置にかかる検討を行い、再配置の方針を示す「学校施設再配置基本計画素案」を策定していく予定です。これにより、少子化を見据えた学校施設の規模適正化に努め、田原本の子どもたちが集団生活の中で切磋琢磨しながら社会性や知識を身につけ、健やかに育ち学べる環境の維持に取り組んでまいります。

児童や保護者を取り巻く状況は複雑化・多様化してきており、児童一人ひとりのニーズに応じたサポート体制の充実を行うとともに、タブレットを活用したICT授業につきましては、国が掲げる「GIGAスクール構想」の下、教育におけるICTを基盤とした先端技術等の効果的な活用がSociety 5.0時代を生きる子供たちに求められる中、

1人1台の端末及び高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された学びを持続的に実現すべく、計画的に推進してまいります。

また、校舎老朽化に伴う施設整備につきましては、小・中学校のトイレの洋式化を推進し、和式トイレを洋式トイレに改修することで和式に不慣れな児童・生徒のストレス、健康面に配慮します。また、中学校の特別教室において生徒が安全な環境下で授業が受けられるようエアコンを設置すべく設計業務を実施する他、年次計画に基づきまして、まずは田原本中学校、北中学校において、改修工事を行ってまいります。

また、学校給食費につきましては、これまでは学校が保護者から徴収し、私会計で運用しておりましたが、町教育委員会事務局が保護者から直接徴収し、町の会計で運用する、いわゆる公会計化を小・中学校、幼稚園において実施いたします。

結婚・妊娠・出産・子育て

多様化する子育てニーズに対応できるきめ細かな子育て支援に向け、行政と地域が一体となった子育て支援の充実を図ります。

女性の社会進出が進む中、多様化し必要性の高まっている子育て支援ニーズに対し、きめ細やかな各種支援を充実してまいります。また、地域の繋がりの希薄化により、地域で子どもを育てるという認識が薄れつつあることから、子育てひろばの整備や子育て世代包括支援センターにおける相談窓口の充実、子どもの遊び環境の充実を図るとともに、子育てしやすいまちを目指し、学校・家庭・地域が連携することで、地域情報の共有と教育力の向上を図ってまいります。

また、子育てにかかる経済的負担の軽減を図るとともに、妊産婦から乳幼児への切れ目のない支援と保健・医療体制を確立することで、子どもを産み、育てやすい環境を整え、若い世代が安心して結婚し、妊娠と出産、そして子育てできる環境の充実を図ります。昨年度より実施している不育治療費助成及び不妊治療費助成による経済的負担の軽減、新生児聴覚スクリーニング検査費用助成実施による先天性聴覚障がいの早期発見と早期療育、保護者支援にも引き続き取り組んでまいります。

また、進行する少子化とその要因としての未婚化,晩婚化への対応策として、これまで商工会青年部主催のどろんこバレーで同時開催されてきた「どろん恋活」に加え、住民が交流を図り男女の出会いのきっかけとなる婚活イベントを民間と連携して実施することにより、結婚を希望される独身男女を応援してまいります。

2「健康で安心な暮らしを支えるまちづくり」への取組み

高齢化が進む中、誰もが住み慣れた地域で安心な暮らしを楽しむことができるよう、自助・共助・互助・公助により、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築し、高齢者福祉の充実、保健・医療の充実と連携強化、介護予防の推進に取り組みます。また、障がいのある人には切れ目のない支援により、社会保障の健全な運営と充実を図ってまいります。

高齢者福祉

高齢者の健康づくりや生きがいづくり支援により健康寿命延伸を図るとともに、地域包括ケアシステムの構築と福祉サービスの充実により、年齢を重ねても住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、高齢者の生活環境の充実を図ります。また、必要に応じ適正な介護を受けられるよう、介護保険事業の適正な運営に取り組んでまいります。

令和2年1月末現在、本町の高齢化率は31.21%であり、今後更なる高齢化の進行が想定されます。2025年には5人に1人が認知症に罹患すると言われており、誰もが元気でいきいきと住み慣れた環境で生活し続けられるよう、講演会や認知症予防教室の開催を通じ高齢者の健康意識向上を図るともに、健康ポイント事業、体操教室等、他の施策とも連携を図りながら事業を推進してまいります。なお、令和2年度は、高石市をはじめ4団体で国の交付金を活用し、最新の科学的技術や科学的根拠に基づく「健幸な」まちづくりを目指す「スマートウェルネスシティ」構想の下、SIB手法によるヘルスケアプロジェクト事業を実施いたします。既に実施しております健康ポイント事業を、スタンプ方式からICT化するとともに、先日開所しました、まちの駅がある青垣生涯学習センターをはじめとした主な公共施設に血圧計や体組成計を設置し、気軽に計測していただける環境を整えます。また中央体育館に新たに設置するエアロバイク等の運動器具を活用し、日常的に運動に親しんでいただくことで健康意識の高揚を図るとともに、効果のデータ化・見える化を行うことで、まちの駅を活用した、エビデンスに基づく健康長寿を目指す取組みを推進してまいります。

また、地域での認知症カフェ開設、認知症の方やその家族を支える認知症サポーター養成により、認知症に対する住民の理解を深めるとともに、専門職によるサポートや、早期診断・治療に繋がる相談窓口の充実を図り、家族を含めた支援環境を整えることで、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりに取り組みます。  

また、介護が必要になっても可能な限り住み慣れた環境で生活を続けることができるよう、地域における生活支援サービス体制の整備を図るとともに、医師・歯科医師・薬剤師・看護師等、医療・介護サービスにかかる専門職間の連携を更に密にし、在宅医療と介護サービスが一体的に提供できるよう、引き続き在宅医療連携体制を整えてまいります。

また、介護サービスの質的な向上と介護認定や給付内容の適正化に努め、介護保険制度の円滑な運用に努めます。

地域福祉

災害時における地域力の重要性が再認識される中、地域で共に支え合い、助け合えるような地域福祉ネットワークづくりに努めます。

人と人との繋がりが希薄化する中、福祉意識の高揚と地域で互いに支え合う意識を醸成するため、社会福祉協議会の体制充実を図るとともに、各種団体やボランティアなどの主体的な活動を支援し、地域福祉計画に基づく“共に生き、支え合う社会”の実現を目指します。また、住民主体による地域福祉の推進を図るため、地域福祉ネットワークづくりを行います。

なお、2月20日無事開所に至りました「まちの駅」につきましては、休憩機能、案内機能、交流機能、連携機能を最大限活かし、人が集い交流を図れる場として活用していただけるよう、広報してまいりますとともに、既設置済の青垣生涯学習センター、本町観光協会に加え、社会福祉協議会へも設置し、民間事業者にもご協力を賜りまして、順次増やしていけるよう、取り組んでまいります。

保健・医療

がん検診の受診環境の充実や、住民の主体的な健康づくりの支援を行うとともに、医療機関や関係機関との連携により、災害等緊急時に強い救急医療体制の強化を図ります。

本町では、がんが死因の30%を占めており、早期発見、早期治療のため、各種がん検診を行っておりますが、受診率の低さが課題であり、県内市町村の平均よりも低くなっています。そこで、受診率向上のため、より効果的な検診の実施方法や実施時期等について検討するとともに、増加傾向にある生活習慣病への対策としまして、生活習慣病予防のための知識の普及・啓発などを行う健康づくり推進員、健康の維持・増進に食生活の面から取り組む食生活改善推進員の効果的な活動を支援します。

また、かかりつけ医を持つことを推奨するとともに、#7119の救急安心センター相談ダイヤル、#8000のこども救急電話相談等、急病時における24時間体制相談窓口制度の周知を行い、一次・二次救急医療に適切に対処できる救急医療体制を強化します。また、地区医師会、中核病院と連携を図り、近隣市町村と共同で奈良県保健医療計画に基づく地域医療体制の整備に取り組みます。

また、京都大学大学院医学研究科との連携により、これまで活用されてこなかった学校健康診断情報を、承諾を得たものについて可視化し、学術機関のご協力を得て、公衆の健康増進及び疫学的解析に基づく疾病の発生原因について研究していただくことで、公衆衛生の向上を図ってまいります。

障がい者福祉

障がいがあっても安心して暮らし続けることができるよう、障がい者福祉の推進体制の充実を図るとともに、社会参加のために必要な支援や環境づくりに取り組みます。

障がい者の相談件数は年々増加し、その内容も多岐にわたることから、より一層関係機関との連携強化を図り、ノーマライゼーションの意義や障がいのある人に対する正しい理解が得られるよう、広報紙での啓発を行うとともに、引き続き支援の充実に取り組んでまいります。

また、聴覚障がい者の方が役場の窓口職員との意思疎通を十分に図れるよう、昨年度から新たに導入致しました手話通訳者配置につきましては、多くの方にご利用をいただき、大変喜んでいただいておりますことから、継続して実施いたします。

また、令和3年度からの計画期間となる「第4次田原本町障害者計画及び第6期障害福祉計画・第2期障害児福祉計画」を策定し、障がいの有無にかかわらず誰もが住みやすく、理解しあい、支えあい、ともに生きる共生社会の実現を目指し、他の諸計画との整合性を図りながら、障がい者福祉施策を推進してまいります。

社会保障

国民健康保険制度は、平成30年4月より市町村ごとの運営から県域での運営に変わりましたが、被保険者の健康の保持・増進のための予防医療や保健事業の充実に努めてまいります。同じく、後期高齢者医療についても同様に、充実を図ってまいります。また、生活保護については、支援体制づくりを進めます。

国民健康保険被保険者の健康保持・増進のため、予防医療を中心とした人間ドック、脳ドックの助成や疾病の予防、重症化防止など、健康づくりを推進してまいります。そのため、特定健診未受診者への、AIを活用した効果的な受診勧奨により受診率向上を図るとともに、これまで要望の大きかった、後期高齢者医療被保険者への人間ドック・脳ドック助成を、新たに実施いたします。また、高齢者世帯の生活保護加入者が急増しているため、引き続き実施機関と連携を図り、相談支援を行うことで、適正保護と自立生活に繋げてまいります。

3「潤いや喜びを与える学びとスポーツのまちづくり」への取組み

「学びやスポーツを楽しむことができるまち」の実現に向け、住民一人ひとりの個性が尊重され、それぞれが生きがいを持って暮らせるよう、生涯学習環境の整備と体制の充実を図り、積極的に参加していただけるよう、取り組んでまいります。

生涯学習

学びたい人が学びたい時に学べるよう、学習体制の充実を図るとともに、青垣生涯学習センターを中心とした生涯学習環境を整備し、文化鑑賞など質の高いイベントを提供します。また、図書館事業の充実を図り、住民の読書活動の支援に取り組みます。

イベントや講座の開催により、青垣生涯学習センターを中心に学びの場の提供を行っておりますが、より多くの方に参加していただけるよう、内容の充実を図るとともに、活動の成果を発表・発揮できる環境を整備します。令和2年度の大きなイベントとしまして、弥生の里ホールでの「NHKのど自慢」の開催が決定しており、引き続き青垣生涯学習センターの利用促進に努めるとともに、茶道や生け花等の文化教室、野球や卓球などのスポーツ教室等、青垣生涯学習センター及び中央体育館での放課後子ども教室を継続実施いたします。加えて、夏休みの英語教室・算数教室、大学生が実施する中学生向け学習支援教室等、様々な教室を継続実施するとともに、放課後子ども教室の一環として、子どもの基礎学力や学習習慣を身に付けるための学習支援教室を青垣生涯学習センターで新たに開講いたします。

また、ハード整備として、中央体育館の屋外トイレの多目的トイレ化、正面玄関のスロープ改修に加え、会議室をトレーニングルームに改修し、災害時には畳を敷き詰め避難所として活用できるよう、整備します。

図書館利用促進事業としましては、図書館わいわいタイム導入、金曜日・土曜日の開館時間延長、児童用DVD貸出等、より多くの方にご利用いただけるよう既に取り組んでいるところでございますが、引き続き「子ども読書活動推進計画」に基づき、学校・幼稚園・保育園などと連携を図りながら、子ども達が読書にふれる機会を増やしてまいります。また、奈良県出身の漫画家森下(もりした)裕美(ひろみ)氏(代表作「少年アシベ」)の展示会やサイン会を実施し、図書館利用の推進を図るとともに、森下氏が支援しておられる車いす電動サッカーの映画「蹴る」の上映会を行うことで、パラリンピック、障がい者スポーツへの認識と理解を深めます。

スポーツ・レクリエーション

誰もが安心、安全にスポーツを楽しめるよう、体育施設の適切な維持管理に努めるとともに、スポーツ・レクリエーション活動の普及・啓発に取り組みます。

住民のスポーツ活動拠点となっている中央体育館ややすらぎ体育館などの施設は老朽化が進んでおり、指定管理者制度の活用を念頭に、計画的に整備してまいります。

また、子どもから高齢者まで誰もがスポーツに親しみ、自然と運動習慣を身に付けられるよう、各種教室・イベントや大会を開催し、スポーツへの参加意欲の高揚を図るとともに、各スポーツ団体を支援することで、住民の自主的なスポーツ・レクリエーション活動の継続をサポートしてまいります。

なお、今夏は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されますことから、日本国民のスポーツへの興味・関心が非常に高まっています。これを機に、スポーツが日常に溶け込み、誰もがいきいきと暮らせるまちを目指し、健康の維持・増進、生きがいづくり、地域コミュニティの活性化など、幅広い効果を有するスポーツの力を、より一層活用してまいります。

来月にはオリンピック聖火リレーが本町唐古・鍵遺跡史跡公園を通過いたしますことに加え、グアテマラ共和国の事後交流型ホストタウンとして既に交流事業も実施しておりますことから、これらを通じ、本町を国内外へ、しっかりとPRしてまいりたいと考えております。

歴史文化

本町に残る貴重な文化財を適切に管理し、指定文化財を含む貴重な文化財を後世に引き継いでいくために、文化財の基礎資料の収集、整理を行い、文化財指定に向けた調査、取組みを引き続き進めてまいります。

唐古・鍵考古学ミュージアムにおいては、企画展の開催や情報発信による文化財の保存と活用を図ることで、郷土愛・文化財愛護精神の育成を図ってまいります。また、唐古・鍵遺跡史跡公園において、指定管理者との連携を密にし、サクラまつりや弥生のムラまつりをはじめとした賑わい創出の場として活用し、魅力ある事業を展開することで、町内外から多くの方々に来園していただき、郷土愛・文化財愛護精神の育成を図ってまいります。

人権の尊重

誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合い、少数者・多様性を認め合える共生社会の実現に取り組みます。

性別に関係なく、意欲に応じ様々な分野で活躍できる社会の実現、ワークライフバランスのとれた生活を送れる環境づくりのため、近隣市町村や民間企業とも連携しながら、研修の実施や啓発、男女共同参画社会の推進を図ってまいります。

4「安全で快適な暮らしを支えるまちづくり」への取組み

豊かな自然や古の歴史文化を感じることができるとともに、快適な住環境が保障され、また、災害に強く犯罪や交通事故のない安心安全なまちにするための施策について申し上げます。

市街地整備

田原本駅周辺の中心市街地を核として、その周辺に住宅系の市街地、その外側に田園地帯が広がるコンパクトな構造をした土地利用を基本に、計画的なまちづくりを進めます。また、町の玄関口である田原本駅周辺整備を行い、快適な生活環境を確保しつつ、賑わいと活気のある魅力的なまちづくりを推進してまいります。

居住機能と、福祉、医療、商業等の都市機能が集約したコンパクトなまちづくりを推進するため、行政が一丸となり、取り組んでまいります。

京奈和自動車道が県内全ての区間で事業化され、既に一部が開通されたことにより、町西部において市街化区域への線引きの見直しの気運が高まる中、都市計画マスタープランに基づき地区特性に応じた土地利用の誘導を図ってまいります。田原本駅周辺整備につきましては、南地区市街地再開発事業を引き続き着実に推進し、令和2年度で組合の設立、実施設計を行ってまいります。また、駅東側の駅前空間の魅力低下解消のため、街並み景観の修復・再生、町屋の活用など、魅力向上に取り組むとともに、駅周辺活性化メンバーを中心とした「やどかり市」の開催、商店主が講師を務める「まちなか塾」の取組みなどを支援することで、引き続き駅周辺の活性化を図ります。

道路・交通

京奈和自動車道を活かした広域道路のネットワーク化を目指し、幹線道路を整備するとともに、安心で安全な道路環境を確保するため、生活道路を整備します。また、高齢や障がいなどにより移動に制約のある方の移動手段を確保するため、交通環境の整備、充実に取り組みます。

「(仮称)京奈和自動車道田原本1.C」へのアクセス道路の整備や交通混雑の解消などのための幹線道路の整備につきましては、歩道のバリアフリー化を推進するとともに、地域の状況に合った整備を行います。

また、生活道路の整備につきましては、管理状況や自治会からの要望などを考慮し、計画的に維持管理を行うとともに、橋梁につきましては、設計段階から施工者が関与するECI方式を新たに導入し、補修が必要なものについては「橋梁長寿命化計画」に基づき優先順位を決め、予防保全を行ってまいります。

交通環境整備につきましては、平成30年7月より実施しておりますタワラモトンタクシー制度を継続実施してまいりますとともに、昨年に実施しましたアンケート結果も踏まえ、移動に制約のある方々のニーズに応える、より充実した制度としてまいります。

加えて、昨年5月に協定を締結しました京都大学経営管理大学院のご協力も得ながら、町全体の交通施策に関するデータ分析、調査を行うとともに、その方針等を示した地域交通の計画の策定に取り組みます。

上下水道

経営の安定化や災害時等の緊急時にも迅速に対応できるよう、磯 城郡広域水道事業体の設立に向け取り組むとともに、計画的、効率的に下水道施設の整備・管理に取り組みます。

人口減少等による水需要の減少、収益減少が予想される一方、施設の老朽化による施設更新費用の増大が懸念されることから、更なる口座振替推進、滞納整理強化等により収納率向上を図るとともに、磯城郡水道事業広域化基本方針に基づき令和4年度からの一部事務組合による事業開始に向け、水道事業広域化の取組みを着実に進めてまいります。

また、下水道事業につきましては、社会情勢を考慮し効率的、適正な処理区域を設定し、計画的に整備事業を推進してまいりますとともに、下水道施設の点検、調査等を計画的、効率的に行い、下水道ストックマネジメント計画に基づき、適切に維持管理を行ってまいります。

住環境

田園都市としての美しい景観を守り、誰もが暮らしやすいまちづくりの推進と、公園の適正な維持管理に取り組みます。

少子高齢化などにより平成17年を境に人口が減少に転じている中、若い世代が定住しやすい住環境の整備が必要であることから、定住支援助成事業の拡充を行います。具体的には、立地適正化計画における居住誘導区域において中古住宅を取得された子育て世帯及び空き家バンクを通じ中古住宅を取得された方への助成を通じ、空き家の解消を図るとともに、町内において、民間賃貸住宅に入居する子育て世帯に対し家賃の一部を補助することに加え、住宅ローンを組まれ、住宅を取得された新婚世帯及び子育て世帯に対して、住宅ローンの利子補給を行うことで、定住人口増へと繋げてまいります。

また、国史跡唐古・鍵遺跡に代表される歴史資源や、緑豊かな田園景観の保全により、地域への愛着醸成、町のブランドイメージの向上を図り、効率的な都市形成と、魅力ある景観形成に努めます。

また、都市公園の維持管理につきましては、公園長寿命化及び再編計画を策定し、公園施設の安全確保及びライフサイクルコストの縮減、都市公園の再編・集約化によるニーズに即したバージョンアップを進めます。加えて、老朽化した公園のリノベーションによる利用増進を図り、多種・多様化する利用者ニーズに対応するとともに、適正に管理し、安らぎと憩いの空間を提供してまいります。

生活環境

本町の豊な自然環境の保全や、自然エネルギーの普及、促進に取り組むとともに、身近なごみ問題から地球規模での環境問題について、環境学習の推進や啓発を行い、質の高い生活環境の確保に取り組みます。

地球温暖化が年々深刻化する中、現状に即した「地球温暖化対策実行計画」を策定します。本町実施事業から排出される温室効果ガス発生の抑制、地球温暖化対策推進の取組みの見直しを進めていますが、更に、廃棄物の抑制とリサイクル推進を図るため、役場内の体制を強化するとともに、ごみの分別・減量化のメニューを新たに追加し、環境への負荷低減に積極的に努めてまいります。

また、学校での環境学習と食育の一環として、北小学校に生ごみ処理機を設置し、給食調理で出た野菜くず等の生ごみの減量化を図るとともに、CO2削減に取り組むことで、環境問題への理解を深めてもらえるよう、努めます。

防災・防犯・交通安全

予期せぬ災害に対し、住民や関係機関と連携し、地域防災体制を強化するとともに、安心して暮らせる環境をつくるため、地域防犯体制の充実や交通安全対策の推進に取り組みます。

地震や台風、ゲリラ豪雨など、異常気象による災害が近年全国で発生しており、本町においても、台風や豪雨による浸水被害が発生しました。今後30年以内に80%の確率で起こるといわれる南海トラフ巨大地震の発生時には、本町においても大規模災害の発生が想定されることから、事前防災・減災と迅速な復旧復興に資する施策を、総合的かつ計画的に実施するため、田原本町地域防災計画の修正と、国土強靭化地域計画の策定を行います。それらも踏まえ、公共施設の耐震化、職員全員の防災意識向上、災害初動マニュアルの徹底、防災訓練の充実により、日ごろから災害に対する心構えと備えを再確認し、自主防災組織の強化、耐震診断補助等の支援により、防災意識の醸成・防災活動の推進を図り、奈良県市町村相互応援協定に基づく、災害時の相互協力を行います。

また、豪雨時の河川の水位状況及び河川を占用している灌漑用井堰の開閉状況を定期的に把握するため、IoTを活用した水位計及び監視計を設置し、河川の状況監視を行います。これにより、PC等の情報機器で職員が手軽に水位情報や井堰の開閉状況を確認でき、加えてその情報を、予め登録された方に向け、発信・提供することも可能となり、周辺住民の防災・減災対策における有益な情報提供、共有促進、住民の防災意識の高揚を図るとともに、豪雨緊急時における職員への通報体制強化、データ蓄積に伴う防災計画への基礎資料とするなど、今後防災減災対策としても活用をしてまいります。

また、平成29年10月の台風21号により大規模な内水被害が発生した状況を踏まえ、奈良県では平成30年5月に今後5年間で内水氾濫による床上、床下浸水被害の解消に向け、必要な貯留施設等を整備していく奈良県平成緊急内水対策事業が立ち上げられ、本町が、奈良県下で第一番目に雨水貯留施設整備工事に着手いたしました。これは県と連携し、本町社会福祉協議会駐車場及び本町埋蔵文化財センター駐車場において、雨水貯留施設の整備を行うものであり、今後も他5箇所で、同じく内水対策整備を予定しているところでございます。これにより、浸水被害に悩まされてきた方々に、安全・安心に生活できる環境を提供することが叶い、水害被害の軽減が期待できます。その他、未整備の河川護岸の整備、ため池への一時貯留用ポンプ施設等の整備と併せ、総合的な治水対策に努めてまいります。

また、通学路等における児童の犯罪被害防止、安全確保のための対策として、新たにICTを活用した児童見守りサービスを開始します。これは、田原本小学校新1年生にGPSとビーコン一体型端末を携帯して貰い、小学校の下駄箱通過時に保護者へメール又はSNS「LINE」により通過時刻を通知し、GPS活用により児童の位置情報確認・移動履歴確認を行えるようにして児童の登下校情報を保護者に提供することで、児童の犯罪被害防止を図ります。また、引き続き地域ぐるみによる防犯活動を推進していくため、警察など関係機関と連携しながら防犯パトロールを実施し、安全で安心なまちづくりを推進してまいります。

5「賑わいと活力あふれるまちづくり」への取組み

「まちの賑わいを楽しむまちづくり」の実現に向け、地域経済の活性化、交流人口拡大等、賑わいと活力あふれるまちづくりに取り組みます。

農業

農業を持続的に発展させていくため、担い手の育成・支援及び農産物のブランド化・高付加価値化を進めるとともに、生産基盤の整備に取り組みます。

本町の農業は、担い手不足や高齢化などによる耕作放棄地の増加など、多くの課題に直面している一方、農業法人設立や新規就農者の参入など、新たな動きも見られることから、新規就農希望者に対して空き家や農地の斡旋、一定期間の資金支援を行います。また、農地集約化や機械化など、生産性の向上と効率化を目的とした農業機械の購入や設備整備への支援を行う他、農業・農村の有する多面的機能を今後も適切に維持・発揮できるよう、地域の共同活動に係る支援を行い、地域資源の適切な保全管理を推進します。また、県より特定農業振興ゾーンに指定された法貴寺・八田2地区においては、県と連携し、いちご等高収益作物の導入、担い手の確保、耕作放棄地の予防と農地の集積・整備などに取り組みます。更には、町の推進作物及び大和の伝統野菜である味間いもの作付拡大推進により、自給率向上に取り組むとともに、ブランド強化・高付加価値化を一層推進、支援することで、農産物の販路拡大を行います。加えて、昨年11月に協定を締結したumamill及びSAMURAI SUMMITと連携することで、食品の輸出事業を支援してまいります。また、安心・安全で新鮮な町の農産物を、学校給食に積極的に活用し、地産地消を推進することで、地域における食文化の伝承と関心を深めます。加えて、道の駅での販売や、イベント時の野菜の即売等により、生産者と消費者の交流促進、地産地消を推進します。

また、農業基盤施設の整備・補修など、生産基盤を整備し、農業経営の安定化に努めます。

 

商工業

商工業の振興を支えている商工会への支援、中小企業への融資等による、実情に応じた支援を行うとともに、京奈和自動車道の一部開通による立地の優位性を活かし、積極的且つ計画的な企業誘致活動に取り組みます。

企業の育成など商工業の振興に取り組む商工会を支援するとともに、町内中小企業の経営安定化や設備投資に対する融資制度を活用した支援、商品開発、商品のPR・販売機会の創設などを行います。

企業誘致活動の推進につきましては、市街化区域に編入した「(仮称)京奈和自動車道田原本1.C」周辺地区において計画的に進めているところでありますが、今後も立地の優位性を活かし、企業立地促進奨励金も活用しながら、地域活性化や雇用創出に向け取り組むとともに、県との連携協定を基に新たな工場適地を創り出し、積極的に企業誘致に向けた取組みを推進することで、活力あるまちづくりを進めてまいります。

また、本町初の試みとして総務省の地域経済循環創造事業交付金「ローカル10,000プロジェクト」を活用して整備を進めてまいりました歴史ある醤油醸造蔵の再生、滞在型観光施設整備につきましては、今夏の創業開始に向け順調に進んでおりますことから、地域の雇用創設、地域経済の好循環に繋がるよう、引き続き後方支援を行うことで町の振興を図ってまいります。

観光

観光振興に取り組む観光協会を支援するとともに、効果的な情報発信や継続的なイベントの実施により、誘客を図ります。

また、県や近隣市町村と連携し、広域的な観光振興に取り組みます。

町には国史跡唐古・鍵遺跡、古事記ゆかりの多神社をはじめ数多くの観光資源があり、これらの魅力をウェブサイトやSNSなどにより、広くPRするとともに、周辺市町村と広域観光連携の強化を図ってまいります。また、道の駅レスティ 唐古・鍵、唐古・鍵遺跡史跡公園については、指定管理者と連携を図り、魅力あるイベントの実施により、誘客を図るなど、更なる地域活性化と交流人口拡大に向け、適切な運営管理と効果的な情報発信に努めてまいります。

本年は東京オリンピック・パラリンピック、また2025年には大阪・関西万博の開催を控え、多くの外国人が日本を訪れることが見込まれ、とりわけ、本町は東京オリンピック・パラリンピックに際し、グアテマラ共和国の事後交流型ホストタウンになっておりますことから、より一層、効果的な情報発信に努め、観光振興に活用してまいります。

更には、賑わいと活力あふれるまちづくりに向け、本町における今後の観光施策にかかる基本計画を策定するとともに、今後の効果的な観光施策の実施、持続可能な組織体系の確立など、観光事業の拡充を行うことで、地域のブランディング化、地域力の向上、持続可能で実効性のある観光施策実施に繋げてまいります。

なお、本町をはじめ5市町村で構成する「飛鳥ナンバー協議会」で取り組んでまいりました、自動車のご当地ナンバープレート「飛鳥ナンバー」につきましては、本年5月に交付開始となりますことから、更なる普及啓発を行うとともに、地域振興、観光振興に活用してまいります。

6「住民とともに実現するまちづくり」への取組み

財政状況の厳しさが増す中、住民主体のまちづくりを積極的に支援し、参画と協働のまちづくりを進めるとともに、効率的かつ効果的な行財政運営に努めてまいります。

住民参加

住民が主体的な活動を行えるよう支援し、地域交流・協働を推進するとともに、行政情報の提供、住民ニーズの把握に取り組みます。

高齢化により、住民主体の地域運営が危ぶまれていることから、コミュニティ活動に関する情報の収集・提供を行い、住民のコミュニティに対する意識の向上と、自治会への加入促進、コミュニティリーダーに対する研修の実施や情報の提供を行います。

また、住民主体のまちづくりを積極的に進めるため、協働によるまちづくりができる環境の整備を行い、町民等による協働プロジェクト立上げ支援を行うとともに、地域活動の拠点となる公民館等の整備への助成や広報紙・ウェブサイト・SNSなど様々な情報発信ツールの活用、タウンミーティングの開催・充実により行政情報・地域情報の提供・発信を行ってまいります。

行財政運営

多様化・高度化する住民ニーズや新たな行政課題に迅速・柔軟かつ的確に対応するため、適正な人員配置と職員の資質向上により、組織体制の充実を図るとともに、限られた財源の下、適正な財政運営を行います。また、公共施設の更新・施設配置の最適化・長寿命化を行うことで、将来の財政負担を軽減・平準化するとともに、RPA,AIなどICTの利活用により情報化を推進し、行政事務を効率化・簡素化することで、引き続き効率的で持続可能な行財政運営に取り組んでまいります。

歳入につきましては、転入促進や企業誘致等、産業振興による税収確保やふるさと応援寄附金に加え、クラウドファンディング、企業版ふるさと納税を活用した歳入確保に、引き続き努めます。また、町税については、まちづくりに伴う行政経費の貴重な財源であることに加え、公平性の観点からも、令和2年度、特に悪質と思われる滞納者への対応を、強化します。

歳出につきましては、財政規律をしっかりと堅持しながら、将来を見据え重点化・効率化を図るとともに、持続可能な行政サービスの提供に向け、事業施策の点検、見直しや予算・事業の執行管理の徹底など、マネジメントサイクルを活用し、限られた財源の中で行財政運営の適正化・効率化に努めます。

行政改革については、公共施設の老朽化への対応や社会保障関係費の増加により、将来的に必要とされる財源が大幅に増加することが見込まれる中、持続可能な行財政基盤の確立を図るため、行財政改革大綱に基づくファシリティマネジメントの取組みなど、職員一丸となって改革を推進してまいります。

加えて、長寿命化による年間負担額の軽減を行っても、今後必要となる公共施設の維持管理及び更新費用は相当多額になることが見込まれることから、今後必要となる公共施設等の整備に備え、新たに公共施設等整備基金を創設し、将来的な財政負担に備えます。

人事施策につきましては、職員研修の拡充、計画的な人材育成など、職員の資質向上、意欲・能力を引き出す環境の整備を行うとともに、公平かつ公正な人事評価実施により、職員が意欲、能力を十分に発揮し活躍できるよう、職場環境の整備に取り組みます。

また、共通の課題を持つ自治体と連携を行い、課題解決に向け、共に調査・研究を行います。
 

予算

次に、令和2年度の予算案について申し上げます。

まず、歳入のうち税収入は、町民税、町たばこ税は減少し、その他軽自動車税、固定資産税等が増加しますが、町税全体ではわずかな減収となっています。また、地方消費税交付金、地方交付税、法人事業税交付金などが増収となる見込みです。

一方、歳出は、社会福祉等の社会保障関係費や子育て関連経費も引き続き増高し、さらに、学校給食材料購入費及び健康ポイント事業運営委託料などの物件費も増加します。

これらの状況や平成29、30度決算における実質収支を鑑み、予算編成に当たりましては、「田原本町第4次総合計画」や「田原本町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に位置付けられている施策について積極的に推進するとともに、職員一人ひとりが厳しい財政状況を十分認識し、コスト意識を持って財源の確保、歳出の抑制に努め、全ての施策について必要性、有効性、将来的な負担等を検討し、予算の重点化、効率化を図りました。そして、財源につきましても、基金からの繰り入れを回避し、行政需要に適切に対応しながら適正規模の財政構造を目指しました。

このように非常に厳しい予算編成を行いましたが、「子どもができたら田原本」「暮らしを楽しむ田原本」「年をとっても田原本」の「新しい田原本の3つの未来」の実現のために、特に、内水対策、農業振興、子育て支援、健康寿命を延ばす施策等の充実を図るとともに、生涯学習・文化・スポーツなど町民の生活に豊かさや潤いをもたらす様々な施策を盛り込みました。

その結果、前年度予算との比較では、一般会計は、5億3,500万円の増、率にして4.2%増となり、厳しい財政運営を反映した予算となりました。前年に引き続き、財源確保につきましては、国・県補助金の他、クラウドファンディング、企業版ふるさと納税も活用してまいります。

なお、一般会計、特別会計、企業会計の当初予算は、

一般会計 132億8,300万円   対前年度予算比 4.2%増

特別会計 69億4,680万4千円 対前年度予算比 0.7%増

企業会計 31億6,580万5千円 対前年度予算比 3.5%減

総 額233億9,560万9千円 対前年度予算比 2.0%増

となりました。

以上、町政運営の基本方針と新年度の主要な施策について申し上げました。

議員の皆様、町民の皆様、事業者の皆様の、町政に対するより一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

この記事に関するお問い合わせ先

担当課:秘書広報課秘書係
電話:0744-33-9037