健康経営の取組
田原本町における健康経営の普及促進について
奈良盆地の中央に位置する田原本町では、平成29年度からの田原本町第4次総合計画において「子どもから高齢者まで 誰もがいきいきとした 暮らしを楽しむまち たわらもと」を将来像に掲げ、まちづくりを進めているところです。
本年5月までの約3年半のコロナ禍においては、令和2年7月に「新型コロナウイルスに負けない健幸都市」宣言を行い、たわらもとヘルスケアプロジェクト 「健幸ポイント事業」を開始して、ICTを活用した地域住民のウォーキングや運動習慣の普及促進に努めてまいりました。
また、令和3年7月には、働く人の予防と健康づくり、健幸なまちづくりを目指して全国健康保険協会奈良支部と包括連携協定を締結し、「健康経営優良法人の拡大」を目指して商工会とも連携し、様々な取組みをしてまいりました。
その結果、健康経営優良法人2023認定事業所数が町内で17社となり、507の法人事業所数に対する認定率(3.35%)は県内市町村中でトップとなりました。
町役場では、令和3年7月に「健康宣言書」を発出して職員の健康に配慮した健康経営を進め、令和4年7月には「田原本町職員心の健康づくり計画」を策定してメンタル不調の予防とケアの充実も図ってまいりました。
令和4年11月にはアクサ生命保険株式会社と連携協定を締結し、全職員へのワンポイントアドバイスの毎月配信や健康習慣アンケートを実施し、令和5年1月からは、職員の健康増進や働き方改革の一環としてTPOに合わせた働きやすい服装で勤務することとしました。
令和5年度に入り、町役場内の健康経営を一層進め、目的達成への取組や全職員のワークライフバランス等を推進するため、5月に「健康宣言書」の改訂および「組織体制」「戦略マップ」の作成を行いました。
さらに7~8月には、健康経営の可視化と質の向上、職員の要望等の把握のため、第2回健康習慣アンケートを実施し、9月にはフィードバックのセミナーを行うなど、予防と健康づくり、働きやすい職場環境づくりに取組んでいます。
(注)
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することで、生産性の向上や組織の活性化等が期待できる経営手法です。「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。
1.健康宣言(経営理念・方針)
町役場では、令和3年7月に「健康宣言書」を発出し、職員の予防と健康づくりを目的として「健康診断の100%実施」「生活習慣病改善の支援」「検査・治療の推奨」「職員の健康への配慮」等に取組んでまいりました。
令和5年5月には、働く環境の変化やアフターコロナを踏まえて「健康宣言書」をリニューアルし、「推進体制」の確立と「戦略マップ」の作成を行い、「健康経営推進会議」を通じて健康経営を積極的に推進しています。
2.健康経営推進体制(組織体制)
健康経営の推進にあたり、従来は町長をトップとして人事課が中心となって課題解決を進めてまいりましたが、「健康宣言書」のリニューアルとともに、推進体制を明確化・共有化し、連携先の関与・支援のもと健康経営推進会議を通じて職員全員の意識の向上と主体的な健康行動の浸透に取組んでいます。
3.戦略マップ(概略図)
健康経営の目的を達成するため、新たに「戦略マップ」を作成し、計画から施策実行、評価・改善までのPDCAの各フェーズについて健康経営推進会議で確認・協議・決定し、全役職員が健康投資・施策の実践に関与しながら、課題の解決やメリットの享受に取組んでいます。
4.制度・施策および実績など
職員の健康保持・増進に関する取組
1.取組方針
職員全員が心身ともに健康で、働く意欲や能力を最大限発揮できる環境は何よりも重要であり、職場環境の改善やワークライフバランスの促進など健康経営を戦略的に実践しているところです。
引き続き、職員のヘルスリテラシーの向上やワークエンゲイジメントの向上に資する取組みを進め、組織の活性化や生産性の向上を通じて、効率的で質の高い行政サービスの提供につなげてまいります。
2.取組指標と目標値
指標 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 |
令和7年度 (目標) |
---|---|---|---|---|
特定健診受診率 | 92.0% | 95.0% | 95.9% | 100% |
特定保健指導実施率 | 65.2% | 66.7% | 51.7% | 70% |
適正体重維持者率(BMIが18.5~25未満の者) | 65.6% | 61.9% | 65.2% | 67% |
喫煙率 | 13.4% | 12.0% | 12.3% | 10% |
指標 | 令和4年度 | 令和5年度 |
令和7年度 (目標) |
---|---|---|---|
アブセンティーイズム | 5.3日 | 4.0日 | 3.2日以下 |
プレゼンティーイズム | 20% | 23% | 19%以下 |
ワークエンゲイジメント | 2.6点 | 2.6点 | 2.7点以上 |
(注)各指標は、職員のアンケートにより測定・集計したもの
(注)ワークエンゲイジメント指標は4点満点であり、全国平均は2.5点
「測定人数:回答率」=「令和4年度307人:45.9%」「令和5年度310人:60.6%」
【用語説明】
- ヘルスリテラシー(健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力)
- アブセンティーイズム(健康問題により勤務ができない状態)
- プレゼンティーイズム(健康問題により出勤時の業務パフォーマンス・生産性が低下している状態)
- ワークエンゲイジメント(心身ともに健康で、心からやりがいを感じて仕事に取り組んでいる状態)
【評価コメント】
令和5年度は令和4年度比で、病気による欠勤状況は約25%改善したが、病後の職場復帰者の増加等により、プレゼンティーイズムは約15%悪化、ワークエンゲイジメント指標は変わらず、となっており、引き続きパフォーマンスの向上につながる取組を進めてまいります。
メンタルヘルスの改善に向けた取組
令和4年7月に「田原本町職員心の健康づくり計画」を策定し、メンタルヘルス不調の未然防止、早期発見、メンタルヘルス改善に向けたセルフケア、ラインケア等の施策をより強化して、具体的な取組を進めています。
- ストレスチェックの実施、分析と課題に対応(衛生委員会等)
- 高ストレス者等に対する産業医等による面談の実施
- 臨床心理士による月2回の健康相談
- メンタル不調者の早期改善、早期復帰の支援の継続
- ハラスメント外部相談窓口の設置
- メンタルヘルス対策の職員研修の実施
【令和5年度からの新たな取組】
- メンタルヘルスセミナーの実施、動画配信等の実施
- 1on1の個別面談の実施、研修・教育の実施
ワークライフバランスの改善に向けた取組
ワークライフバランスの改善に向けた取組については、職場の実態に応じて各部課内で調整し、時間管理の徹底に取組んでいます。
毎週の水曜日・金曜日は「ノー残業デー」として、業務終了時の庁内放送等により、組織全体で定時退庁を進めています。
また、職員一人ひとりが主体的にワークライフバランスの改善につながるアイデア・方法を考え、効率化を進めて「時間外勤務の縮減」および「有給休暇の取得促進」に取組んでいます。
指標 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 |
令和7年度 (目標) |
---|---|---|---|---|
時間外勤務(月45時間超の延べ職員数) | 56人 | 62人 | 61人 | 50人以下 |
時間外勤務(年360時間超の職員数) | 4人 | 5人 | 5人 | 0人 |
年次有給休暇の平均取得日数 | 11.8日 | 12.9日 | 13.0日 | 14日以上 |
時間外勤務の上限は、月45時間、年360時間としています。
その他の健康増進、職場環境改善等への取組
- 令和2年4月より庁舎敷地内での全面禁煙を開始
- 感染症予防対策として換気ルールの導入など環境整備を図っています。(毎日3回の10分間の換気実施、食堂等でのパーテーションの設置など)
- 令和4年12月より、健康経営ワンポイントアドバイスを毎月1回、職員全員に配信し、ヘルスリテラシーの向上、職員の行動変容、ワークエンゲイジメントの向上への取組を進めています。
- 令和4年1月より、不妊治療に関する特別休暇の新設をし、安心して不妊治療に臨める環境を整えています。
- 令和4年5月に、地域貢献活動応援制度を創設。地域の活性化などに貢献する活動であれば、兼業として許可をしています(実質的副業解禁)。
- 令和4年10月より、育児休業制度を改正し、育児休業の取得回数制限を緩和。より育児休業を取得しやすい環境を整えています。
- 令和5年5月より、子の看護休暇制度を改正し、取得要件を緩和。業務と子育てを両立しやすい環境を整えています。
- その他、各種休暇制度や勤務制度を設けており、働きやすい職場環境への取組を進めています。
働きやすい職場環境のための人事制度一覧(PDFファイル:233.1KB)
【令和5年度からの新たな取組】
- 推進体制の強化(共済組合・衛生委員会・職員組合・産業医等との協議・連携)
- 世界禁煙デーに庁内放送による禁煙周知を実施
- 「禁煙」に関するウェブセミナーを実施
- 「睡眠」に関するウェブセミナーを実施
- 従来からの管理栄養士による野菜摂取に関する毎月記事の全職員回覧に加え、「野菜摂取月間」の設定や「腹八分目運動」を開始
- 庁舎内の階段使用の促進においてカロリー消費量を掲示
健康経営の推進に関する取組経緯
≪職員に対する主な取組≫
令和3年7月
- 「健康宣言書」を作成し、健康経営の取組を開始
令和4年1月
- 不妊治療に関する特別休暇の新設
令和4年5月
- 地域貢献活動応援制度の創設
令和4年7月
- 「田原本町職員心の健康づくり計画」を策定
令和4年8月
- 健康経営優良法人の認定を目指すことを公表
令和4年10月
- 育児休業制度の拡充
令和4年11月
- アクサ生命保険株式会社と連携協定を締結(町役場および町内の健康経営の普及促進のため)
令和4年12月
- 職員向けの第1回健康習慣アンケートを実施
令和5年1月
- 年間を通して「働きやすい服装」による勤務の実施
令和5年5月
- アンケート結果を踏まえた健康経営セミナーを実施(5月18日実施 : 65名参加)
- 「健康宣言書」の改訂、「戦略マップ」の作成により、推進体制を明確化(健康経営推進会議の継続実施、部課長会議で内容を共有、職員に展開)
- 子の看護休暇の対象範囲を拡充
令和5年7月
- 職員向け第2回健康習慣アンケートを実施
令和5年9月
- アンケート結果のフィードバックセミナーおよび、「心の健康セミナー」「女性の健康セミナー」を実施(9月27日実施:121名参加)
≪住民・企業等に対する主な取組≫
令和2年8月
- 天理大学と運動・スポーツ振興に関する連携協定を締結
令和2年10月
- たわらもと健幸ポイント事業、健幸運動教室事業の実施
令和3年2月
- 明治安田生命保険相互会社と包括連携協定を締結
令和3年3月
- 株式会社タニタヘルスリンクと包括連携協定(ICT活用)を締結
令和3年7月
- 全国健康保険協会奈良支部と包括連携協定を締結
令和4年2月
- 大塚製薬株式会社と住民の健康増進に関する包括連携協定を締結
令和4年3月
- 「健康経営優良法人2022認定事業所の集い」を開催
令和4年4月
- 健康経営優良法人認定企業への優遇措置として、町内中小企業資金融資制度での補給率加算を開始
令和4年10月
- 「スポーツ×健康」のシンポジウムを開催
令和5年4月
- 健康経営優良法人認定企業への優遇措置として、町の公共事業調達(プロポーザル方式)における加点措置を開始
令和5年8月
- 「田原本町健康経営優良事業所表彰」を新設して特に優れた3事業所を表彰
- 近畿経済産業局による「健康経営優良法人2024認定申請」に向けたセミナーを実施(協会けんぽ奈良支部と共催、田原本町商工会後援)
主な取組の様子
5.今後の取組について
- 職員の意識改革・行動変容を通じて心身の健康度の向上を図り、快適で働きやすい職場環境づくりなど課題の改善や働き方の最適化(テレワーク・フレックスの導入)に取組んでまいります。
- 若手職員育成のためメンター制度の導入に取組んでまいります。
- 早稲田大学マニフェスト研究所が主催する人材マネジメント「管理職部会」へ参加し、そこで得た知見を基に、人材戦略(仮)の作成に取組んでまいります。
- 健康投資効果を意識して、「人財・組織の価値向上」「社会的価値の向上」に向けて業務改善に取組み、効率的で質の高い行政サービスの提供を目指してまいります。
- 外部団体(経済団体・保険者・関連機関等)との連携を深め、健康経営の輪を広げながら町全体の活性化を図り、「地域社会のウェルビーイングの向上」に取組んでまいります。
- より多くの人が「メリット」や「ベネフィット」を享受できるよう、効果的な健康経営事業を進めてまいります。
6.田原本町に関する主な計数(令和5年10月1日現在)
- 面積:21.09平方キロメートル
- 人口:31,572人
- 世帯数:13,462世帯
- 町内法人数:507社(令和4年度)(協会けんぽ奈良支部加入事業所数)
- この記事に関するお問い合わせ先
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担当課:健康経営推進会議事務局(人事課人材育成係)
電話:0744-34-2056