健康経営の取組
[2025年3月21日更新]
田原本町における健康経営の普及促進について
奈良盆地の中央に位置する「唐古・鍵遺跡」弥生のまち「田原本町」では、2017年度からの田原本町第4次総合計画において「子どもから高齢者まで 誰もがいきいきとした 暮らしを楽しむまち たわらもと」を将来像に掲げ、まちづくりを進めているところです。その一環である「健康経営」の推進においては、「職員が健康で活躍できる職場の実現」および「質の高い行政サービスの提供」を目的として、以下のような取組を進めています。
【町役場内での取組】
2021年7月に「健康宣言書」を発出して職員の健康に配慮した健康経営を進め、2022年7月には「田原本町職員心の健康づくり計画」を策定してメンタル不調の予防とケアの充実を図ってまいりました。
2022年11月にはアクサ生命保険株式会社と連携協定を締結し、全職員へのワンポイントアドバイスの毎月配信や健康習慣アンケートを実施し、2023年1月からは、職員の健康増進や働き方改革の一環としてTPOに合わせた働きやすい服装で勤務することとしました。
2023年度に入り、町役場内の健康経営を一層進め、目的達成への取組や全職員のワークライフバランス等を推進するため、5月に「健康宣言書」の改訂および「組織体制」「戦略マップ」の作成を行いました。
さらに7~8月には、健康経営実践における質の向上、職員の要望等の把握のため、第2回健康習慣アンケートを実施し、9月にはフィードバックのセミナーを行うなど、予防と健康づくり、働きやすい職場環境づくりに取組みました。
また、2024年度においては、健康経営推進会議の充実、健康経営の質を高めるための人事制度の拡充、生産性の向上や組織の活性化などに向けた取組を進めています。
【町内向け支援等の取組】
2020年7月に「新型コロナウイルスに負けない健幸都市」宣言を行い、たわらもとヘルスケアプロジェクト 「健幸ポイント事業」を開始して、ICTを活用した地域住民のウォーキングや運動習慣の普及促進に努めてまいりました。
また、2021年7月には、働く人の予防と健康づくり、健幸なまちづくりを目指して全国健康保険協会奈良支部と包括連携協定を締結し、「健康経営優良法人の拡大」を目指して商工会とも連携し、各種インセンティブの提供など様々な取組みをしてまいりました。
そして、2023年度から2024年度にかけて、町内全域での健康経営の普及に向けた様々な施策や取組を進めた結果、町役場としては、2年連続で奈良県内自治体唯一の健康経営優良法人2025(大規模法人部門)の認定を受けることができました。また、町内全域では22事業所が2025認定を受け、法人数に対する認定率は県内自治体の中でトップを維持しています。
(注)
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することで、生産性の向上や組織の活性化等が期待できる経営手法です。「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。
1.健康宣言(経営理念・方針)
本庁では、2021年7月に「健康宣言書」を発出し、職員の予防と健康づくりを目指して「健康診断の100%実施」「生活習慣病改善の支援」「検査・治療の推奨」「職員の健康への配慮」等に取組んでまいりました。
2023年5月には、アフターコロナや働く環境の変化を踏まえて「健康宣言書」をリニューアルし、「推進体制」の確立と「戦略マップ」の作成を行い、「健康経営推進会議」を通じて健康経営を積極的に推進しています。
2.健康経営推進体制(組織体制)
健康経営の推進にあたり、「健康宣言書」のリニューアルとともに、推進体制を明確化・共有化し、連携先の関与・支援のもと健康経営推進会議を通じて職員全員の意識の向上と主体的な健康行動の浸透に取組んでいます。
3.戦略マップ(概略図)
健康経営の目的達成に向け、職員への健康投資による効果や繋がりを分かりやすく示すため、「戦略マップ」を作成しています。計画から施策実行、評価・改善までのPDCAの各フェーズについて健康経営推進会議で確認・協議・決定し、全役職員が健康投資・施策の実践に関与しながら、課題の解決やメリットの享受に取組んでいます。
4.制度・施策および実績など
職員の健康保持・増進に関する取組
1.取組方針
職員全員が心身ともに健康で、働く意欲や能力を最大限発揮できる環境は何よりも重要であり、職場環境の改善やワークライフバランスの促進など健康経営を戦略的に実践しているところです。
引き続き、職員のヘルスリテラシーの向上やワークエンゲイジメントの向上に資する取組を進め、組織の活性化や生産性の向上を通じて、効率的で質の高い行政サービスの提供につなげてまいります。
2.取組指標と目標値
指標 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
2025年度 (目標) |
---|---|---|---|---|---|
特定健診受診率 | 92.0% | 95.0% | 95.9% | 96.3% | 100% |
特定保健指導実施率 | 65.2% | 66.7% | 51.7% | 51.9% | 70% |
適正体重維持者率(BMIが18.5~25未満の者) | 65.6% | 61.9% | 65.2% | 60.3% | 67% |
喫煙率 | 13.4% | 12.0% | 12.3% | 11.7% | 10% |
指標 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
2025年度 (目標) |
---|---|---|---|---|
アブセンティーイズム | 5.3日 | 4.0日 | 4.4日 | 3.2日以下 |
プレゼンティーイズム | 20% | 23% | 23% | 19%以下 |
ワークエンゲイジメント | 2.6点 | 2.6点 | 2.5点 | 2.7点以上 |
(注)各指標は、職員のアンケートにより測定・集計したもの
(注)ワークエンゲイジメント指標は4点満点であり、全国平均は2.5点
「測定人数:回答率」=「2022年度307人:45.9%」「2023年度310人:60.6%」「2024年度300人:65.0%」
【用語説明】
- ヘルスリテラシー(健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力)
- アブセンティーイズム(健康問題により勤務ができない状態)
- プレゼンティーイズム(健康問題により出勤時の業務パフォーマンス・生産性が低下している状態)
- ワークエンゲイジメント(心身ともに健康で、心からやりがいを感じて仕事に取り組んでいる状態)
【評価コメント】
2024年度は2022年度比で、アブセンティーイズムは改善しているが、病後の職場復帰者の増加、回答率の上昇等もあり、プレゼンティーイズム指標・ワークエンゲイジメント指標が悪化しており、組織の活性化と生産性・パフォーマンスの向上への取組をさらに進めていく必要がある。
メンタルヘルスの改善に向けた取組
2022年7月に「田原本町職員心の健康づくり計画」を策定し、メンタルヘルス不調の未然防止、早期発見、メンタルヘルス改善に向けたセルフケア、ラインケア等の施策をより強化して、具体的な取組を進めています。
- ストレスチェックの実施、分析と課題に対応(衛生委員会等)
- 高ストレス者等に対する産業医等による面談の実施
- 臨床心理士による月2回の健康相談
- メンタル不調者の早期改善、早期復帰の支援の継続
- ハラスメント防止研修の実施および外部相談窓口の設置
- メンタルヘルス対策の職員研修の実施
【2023年~2024年度の新たな取組】
- メンタルヘルスセミナーの実施、動画配信等の実施
- 1on1の個別面談の実施、研修・教育の実施
- メンター制度の本格的な実施
ワークライフバランスの改善に向けた取組
ワークライフバランスの改善に向けた取組については、職場の実態に応じて各部課内で調整し、時間管理の徹底に取組んでいます。
毎週の水曜日・金曜日は「ノー残業デー」として、業務終了時の庁内放送等により、組織全体で定時退庁を進めています。
また、職員一人ひとりが主体的にワークライフバランスの改善につながるアイデア・方法を考え、効率化を進めて「時間外勤務の縮減」および「有給休暇の取得促進」に取組んでいます。
指標 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
2025年度 (目標) |
---|---|---|---|---|---|
時間外勤務(月45時間超の延べ職員数) | 56人 | 62人 | 61人 | 27人 | 50人以下 |
時間外勤務(年360時間超の職員数) | 4人 | 5人 | 5人 | 5人 | 0人 |
年次有給休暇の平均取得日数 | 11.8日 | 12.9日 | 13.0日 | 14.0日 | 14日以上 |
時間外勤務の上限は、月45時間、年360時間としています。
その他の健康増進、職場環境改善等への取組
- 2020年4月より庁舎敷地内での全面禁煙を開始
- 感染症予防対策として換気ルールの導入など環境整備を図っています。(毎日3回の10分間の換気実施、食堂等での一部パーテーションの設置など)
- 2022年12月より、健康経営ワンポイントアドバイスを毎月1回、職員全員に配信し、ヘルスリテラシーの向上、職員の行動変容、ワークエンゲイジメントの向上への取組を進めています。
- 2022年1月より、不妊治療に関する特別休暇の新設をし、安心して不妊治療に臨める環境を整えています。
- 2022年5月に、地域貢献活動応援制度を創設。地域の活性化などに貢献する活動であれば、兼業として許可をしています(実質的副業解禁)。
- 2022年10月より、育児休業制度を改正し、育児休業の取得回数制限を緩和。より育児休業を取得しやすい環境を整えています。2023年5月より、子の看護休暇制度を改正し、取得要件を緩和。業務と子育てを両立しやすい環境を整えています。
- また、各種休暇制度や勤務制度を設けており、働きやすい職場環境への取組を進めています。
働きやすい職場環境のための人事制度一覧(PDFファイル:186.8KB)
【2023年~2024年度の新たな取組】
- 2023年1月より、年間を通して「働きやすい服装」による勤務の実施
- 推進体制の強化(共済組合・衛生委員会・職員組合・産業医等との協議・連携)
- 世界禁煙デーに庁内放送による禁煙周知を実施
- 「禁煙」に関するウェブセミナーを実施
- 「睡眠」に関するウェブセミナーを実施
- 従来からの管理栄養士による野菜摂取に関する毎月記事の全職員回覧に加え、「野菜摂取月間」の設定や「腹八分目運動」を開始
- 庁舎内の階段使用の促進においてカロリー消費量を掲示
- 歯とお口の健康習慣の庁内放送
- 仕出弁当で、管理栄養士監修の食事メニューを扱う業者を追加
- 食堂隣接の和室及び町長会議室を「リフレッシュルーム」として開放
- 「職場でストレッチ・カレンダー」を展示(すきま時間のストレッチ推奨)
- 本庁舎の窓口業務職員の昼休み時間完全確保への取組(住民へ周知)
- 一年を通じて取得可能な「リフレッシュ休暇」を導入
- 働き方改革として、行政に特化した生成AIの導入(2024年11月)
健康経営の推進に関する取組経緯
≪職員に対する主な取組≫
2021年7月
- 「健康宣言書」を作成し、健康経営の取組を開始
2022年7月
- 「田原本町職員心の健康づくり計画」を策定
2022年8月
- 健康経営優良法人の認定を目指すことを公表
2022年11月
- アクサ生命保険株式会社と連携協定を締結(町役場および町内の健康経営の普及促進のため)
2022年12月
- 職員向けの第1回健康習慣アンケートを実施(141名回答)
2023年5月
- アンケート結果を踏まえた健康経営セミナーを実施(5月18日実施 : 65名参加)
- 「健康宣言書」の改訂、「戦略マップ」の作成により、推進体制を明確化(健康経営推進会議の継続実施、部課長会議で内容を共有、職員に展開)
- 子の看護休暇の対象範囲を拡充
2023年7月
- 第2回健康習慣アンケートを実施(188名回答)
2023年9月
- 第2回アンケート結果のフィードバックセミナーおよび、「心の健康セミナー」「女性の健康セミナー」を実施(9月27日実施:121名参加)
2023年11月
- 「健やかウォーキング」キャンペーンの実施(11月中)
2024年5月
- 第3回健康習慣アンケートを実施(195名回答)
2024年7月
- ワークライフバランス強化月間の設定(7月~9月)
- 第3回アンケート結果のフィードバックセミナーおよび、「心の健康セミナー」「女性の健康セミナー」を実施(7月4日実施:107名参加)
- RIZAPによる特別セミナー(運動等)の実施(第1回)
2024年11月
- 「健やかウォーキング」キャンペーンの実施(11月中)
2024年12月
- RIZAPによる特別セミナー(運動等)の実施(第2回)
≪住民・企業等に対する主な取組≫
2020年8月
- 天理大学と運動・スポーツ振興に関する連携協定を締結
2020年10月
- たわらもと健幸ポイント事業、健幸運動教室事業の実施
2021年2月
- 明治安田生命保険相互会社と包括連携協定を締結
2021年3月
- 株式会社タニタヘルスリンクと包括連携協定(ICT活用)を締結
2021年7月
- 全国健康保険協会奈良支部と包括連携協定を締結
2022年2月
- 大塚製薬株式会社と住民の健康増進に関する包括連携協定を締結
2022年3月
- 「健康経営優良法人2022認定事業所の集い」を開催
2022年4月
- 健康経営優良法人認定企業への優遇措置として、町内中小企業資金融資制度での補給率加算を開始
2022年10月
- 「スポーツ×健康」のシンポジウムを開催
2023年4月
- 健康経営優良法人認定企業への優遇措置として、町の調達時のプロポーザル審査における加点評価を開始
2023年8月
- 「田原本町健康経営優良事業所表彰」を新設して特に優れた3事業所を表彰
- 近畿経済産業局による「健康経営優良法人2024認定申請」に向けたセミナーを実施(協会けんぽ奈良支部と共催、田原本町商工会後援)
2023年11月
- RIZAPグループ株式会社・大阪ガス株式会社との3者間包括連携協定を締結(健康無関心層の行動変容を促す実証事業を推進)
2024年3月
- 奈良テレビに高江町長が出演し、田原本町での健康経営の推進およびサポート事業、今後の展望について説明
2024年5月
- ラジオ放送FMまほろば(79.5MHz)を通じて、町役場での健康経営の取組内容等を説明
2024年8月
- 第2回「田原本町健康経営優良事業所表彰」において特に優れた4事業所を表彰するとともに、近畿経済産業局による「健康経営優良法人2025申請」に向けたセミナーを実施(協会けんぽ奈良支部と共催、田原本町商工会後援)◆町内全世帯向け広報誌(田原本ダイスキ!2024年8月30日号)に掲載
2024年12月
- 地方公務員 安全と健康フォーラム 第129号(2024年12月)の特集として、自治体に広がる「健康経営」実践に向けてのポイントと好事例が掲載され、当役場の健康経営の経緯・取組内容を紹介
- ACTION!健康経営「自治体カンファレンス 2024」において高江町長が登壇し、「幸せを感じられる田原本を目指して」町役場が率先して健康経営優良法人認定を取得した経緯や取組内容、今後の裾野拡大に向けた支援等について発表
主な取組の様子

2021年7月28日 田原本町と全国健康保険協会奈良支部との包括連携協定締結式及び健康経営普及促進キックオフ集会

2022年3月23日 「健康経営優良法人2022」認定事業所の集い

2022年11月10日 田原本町とアクサ生命保険株式会社との健康経営の普及促進及び健康増進に関する協定締結式

2023年5月18日 第1回健康経営セミナー
2024年7月4日 第3回健康経営セミナー
2024年8月8日 第2回田原本町健康経営優良事業所の表彰式


・カロリー消費量を階段及び踊り場に掲示
・「働きやすい服装」による勤務の実施

食堂にて「野菜摂取月間」や「腹八分目運動」を周知

リフレッシュルーム(和室)
5.今後の取組について
- 心身のヘルスリテラシーを高める研修や情報提供を継続するとともに、「職員が健康で活躍できる職場の実現」に繋がるよう、職員の要望に沿った「快適で働きやすい職場環境づくり」「働き方の最適化」に取組んでまいります。
- 健康経営をベースに、職員の意識改革やスキルアップを通じて「人財・組織の価値向上」を図り、役場機能の発揮により「質の高い行政サービスを提供」し、「社会的な価値向上」に繋げてまいります。
- 外部団体(経済団体・保険者・関連機関等)との連携を深め、健康経営の輪を広げながら町全体の活性化を図り、「地域社会のウェルビーイングの向上」に取組んでまいります。
- また、健康経営の裾野拡大を通じて、より多くの人が「メリット」や「ベネフィット」を実感できるよう、効果的な健康投資を継続し、「働きやすいまち」「健幸なまち」づくりに取組んでまいります。
6.田原本町に関する主な計数(2025年3月1日現在)
- 面積:21.09平方キロメートル
- 人口:31,305人
- 世帯数:13,596世帯
- 町内法人数:506社(2024年3月:協会けんぽ奈良支部加入事業所数)
- この記事に関するお問い合わせ先
-
担当課:健康経営推進会議事務局(人事課人材育成係)
電話:0744-34-2056